接客のフレーズは覚えたのに、お客様から予想と違う返答があると止まってしまう。その場合は、一文ずつ暗記する練習に加えて、返答を聞き、分からない点を確認し、次の対応を選ぶ練習をしてみましょう。
この記事は、接客業で英語を使う方向けの会話教材です。聞き返し・品切れ・注文変更・会計の質問・担当者への取次を、店員役とお客様役のやり取りで練習できます。場面別の短い表現を先に探したい方は、接客英語の基本フレーズ集をご覧ください。
- 日本語で「お客様が求めていること」を確認する。
- 店員とお客様の両方を声に出して読む。
- 色・数量・希望を一つ変え、同じ対応でよいか考えて話す。
以下の会話は独自に作成した架空の学習用例です。在庫・料金・交換などの条件は、実際の店舗に合わせて確認してください。英語の流暢さだけでなく、注文を確認できたか、未確認のことを約束しなかったかも振り返ります。
聞き取れないときの会話|分からなかった部分を確かめる

聞き取れないときは、会話全体を何度も繰り返してもらうより、分からなかった部分に絞って聞くと確認しやすくなります。数量なら数字、商品なら現物やメニューを使い、聞いて分かった内容を相手に返しましょう。
お客様:I’d like thirteen of these, please.
これを13個ください。
店員:Sorry, was that thirteen or thirty?
すみません、13個でしょうか、30個でしょうか。
お客様:Thirteen. One-three.
13個です。1と3です。
店員:Thirteen of this item. Is that right?
この商品を13個ですね。
お客様:Yes.
はい。
この段階で確認したのは希望する数量です。在庫が13個あることまで確認できたわけではないので、次に在庫を調べます。「注文内容の確認」と「受け付けられるかの判断」を分けて練習してください。
聞き返しても分からないときの選択肢
| 分からないこと | 使える英語 | 次にすること |
|---|---|---|
| 言った内容全体 | Could you say that again, please? | もう一度聞く。 |
| 名前のつづり | Could you spell the name for me? | 必要な名前のつづりを確認する。 |
| 商品名や数字 | Could you write that down? | 書いてもらった内容を一緒に確かめる。 |
| どの商品か | Could you point to the item? | 商品やメニューを指してもらう。 |
| 聞こえた一部分 | Did you say the blue one? | 青い商品という理解で合っているか確認する。 |
British Councilの初級教材も、繰り返してもらう表現や、自分の理解を確認する表現を扱っています。追加で練習する場合は、Checking understandingの公式教材(PDF)を使えます。上の接客会話は同教材の転載ではなく、本記事用の例です。
「見ているだけ」から質問されたときの会話
I’m just looking.と返された後も、お客様が後から質問することがあります。最初の声かけで断られたと決めつけず、必要になったときに対応できる距離を取ります。
店員:Can I help you find anything?
何かお探しですか。
お客様:I’m just looking, thanks.
見ているだけです、ありがとう。
店員:Of course. Take your time.
もちろんです。ごゆっくりご覧ください。
お客様:Actually, does this come in a smaller size?
そうだ、これは小さいサイズもありますか。
店員:Let me check the sizes we have.
取り扱いのサイズを確認します。
練習で変えるところ:最後のお客様の質問を「ほかの色はあるか」「ギフト用の包装はできるか」に変えます。店員役は、知っている内容なら答え、不明なら確認すると伝えましょう。包装などに料金や条件がある場合は、それも確認してから案内します。
品切れの会話|代案と入荷日を分けて伝える
在庫がないと伝えるだけで会話を終えず、ほかの選択肢を確認したいか尋ねます。ただし、お客様が希望していない商品を一方的に勧めたり、不明な入荷日を約束したりしないようにします。
お客様:Do you have this in blue, size M?
これの青、Mサイズはありますか。
店員:Let me check. … I’m sorry, the blue one is out of stock in size M.
確認します。……申し訳ありません、青のMサイズは在庫切れです。
お客様:When will you get more?
次はいつ入荷しますか。
店員:I don’t have a confirmed delivery date. I’ll check with the person in charge.
確定した入荷日は分かりません。担当者に確認します。
店員:Would you like me to check another color as well?
ほかの色も確認しましょうか。
お客様:No, thank you. I’m only interested in blue.
いいえ、大丈夫です。青だけを探しています。
店員:Understood. I’ll check the delivery information for the blue one.
承知しました。青の商品の入荷情報を確認します。
「ある」と言う前の確認を練習する
上の例のLet me check.と品切れの案内の間には、在庫確認があります。読む練習でも、そこに確認の動作を入れてください。「ほかの色を確認しましょうか」は提案であり、「ほかの色ならあります」という在庫の断定ではありません。
お客様役がYes, please.と答えたら、店員役は別の色の在庫を調べる流れに変えます。調べても入荷日が未定なら、The delivery date hasn’t been confirmed yet.(入荷日はまだ確定していません)と確認結果を伝えます。分からない内容を曖昧なsoonで埋めず、何が確認できたかを示しましょう。
注文変更の会話|希望を聞いた後に変更できるか確認する
注文変更は、まだ準備を始めていない場合と、すでに提供済みの場合で対応が変わります。まず変更の希望を正しく聞き取り、自分の権限と店の手順に沿って確認します。
お客様:Could I change my coffee to an iced one?
コーヒーをアイスに変更できますか。
店員:Let me check whether we can change it.
変更できるか確認します。
店員:(変更できることを確認してから)We can change that. One iced coffee instead of a hot coffee, correct?
変更できます。ホットコーヒーをアイスコーヒーに変更ですね。
お客様:Yes, please.
はい、お願いします。
instead ofは「〜の代わりに」です。確認時は新しい内容だけでなく、何を取り消して何に変えるかまで伝えると、追加注文との取り違えを防ぎやすくなります。差額がある場合は、変更前に実際の金額を案内して希望を確認します。
提供した商品が注文と違うと言われたら
お客様がI ordered an iced coffee, but this is hot.(アイスコーヒーを頼みましたが、これはホットです)と言ったら、単なる希望変更と決めつけないようにします。I’m sorry. Let me check your order.(申し訳ありません。ご注文を確認します)と伝え、注文記録と提供内容を確認します。
練習で変えるところ:「お客様が希望を変えた」と「注文と違うものが届いた」の二つをお客様役が選び、店員役は何を確認すべきか考えます。どちらも同じ台詞だけで処理せず、状況の違いを説明できれば練習の目的を達成しています。
会計の質問への返答|分からない明細を推測で説明しない
What is this charge?は、明細のある項目が何の料金かを尋ねる質問です。すぐに「税金です」「袋代です」と決めつけず、示された行を確認します。
お客様:What is this charge on my receipt?
レシートのこの料金は何ですか。
店員:Could you show me which line you mean?
どの行か見せていただけますか。
お客様:This one, below the coffee.
ここです。コーヒーの下です。
店員:Thank you. I’ll check this charge with my manager.
ありがとうございます。この料金を責任者に確認します。
確認した結果が袋代なら、This line is for the bag.(この行は袋の料金です)と説明できます。ただし、説明しただけでお客様が納得したとは限りません。袋を頼んでいないなどの返答があれば、その申し出を受けて再度確認します。
二重計上などが疑われても、確認前に必ず返金すると約束する必要はありません。担当者が判断できるよう、レシートの対象行とお客様の質問を正確に取り次ぎます。支払い確認で暗証番号を口頭で求めないなど、店舗の情報管理の手順も守ってください。
まだ明細を確認していません。この時点で選ぶのはどちらでしょうか。
- That’s definitely a tax.(それは間違いなく税金です)
- I’ll check what this charge is for.(何の料金か確認します)
答え:2。税金だと確認できていないためです。英語が自然かどうかに加えて、その時点で分かっている情報に合う文を選びます。
クレーム対応の会話|状況を聞いて担当者につなぐ

担当者へつなぐときは、「お客様が困っている」とだけ伝えるより、商品・申告された状況・希望・確認済みの事実を短く整理します。お客様が話した内容と、こちらが確認した内容を混ぜないことが大切です。
お客様:I bought this mug yesterday, but the handle is cracked. I’d like a replacement.
昨日このマグカップを買ったのですが、持ち手にひびがあります。交換を希望します。
店員:I’m sorry to hear that. Could you show me the crack?
それは申し訳ありません。ひびの箇所を見せていただけますか。
お客様:Here, near the top of the handle.
ここです。持ち手の上の辺りです。
店員:Thank you. I’ll check with my manager about a replacement.
ありがとうございます。交換について責任者に確認します。
責任者へ何を伝えるか
商品を確認し、実際にひびが見えた段階なら、次のように取り次げます。
The customer says they bought this mug yesterday. I’ve checked the handle, and it has a crack. They’d like a replacement. Could you help with this?
お客様は昨日このマグカップを購入したとおっしゃっています。持ち手を確認したところ、ひびがあります。交換をご希望です。ご対応いただけますか。
The customer says …はお客様の申告、I’ve checked …は自分で確認した内容です。購入日や原因まで確認できたように伝えないようにしましょう。交換の可否は、必要な確認をした担当者の判断に沿って案内します。
British Councilの苦情への返信を扱う公式教材(PDF)も、訴えを受け止め、事実に焦点を当てることを勧めています。同資料は文書返信の教材です。本記事ではその考え方を参考に、店舗での短い会話と取次の例を作成しています。
なお、We will replace it.は「交換します」という約束です。Let me check whether we can replace it.(交換できるか確認します)とは意味が違います。対応が決まっていない段階では、確認する行動を伝えましょう。
接客英語のロールプレイ|役と条件を変えて練習する

一度会話を読めたら、同じ台詞を繰り返すだけでなく、お客様役の条件を変えます。店員役はカードを見ずに対応し、お客様役は条件に沿って返答してください。
| 場面 | お客様役の条件 | 店員役の条件 | 確認できたら達成 |
|---|---|---|---|
| 数量の聞き取り | 13個ほしい。聞き違えられたら訂正する。 | 13か30か迷っている。在庫は未確認。 | 数量を復唱し、在庫確認へ進む。 |
| 品切れ | 青のMだけがほしい。別の色は不要。 | 希望の在庫なし。入荷日は未確定。 | 希望を受け止め、未確定の日付を約束しない。 |
| 注文の訂正 | アイスを頼んだのにホットが届いた。 | 注文記録はまだ見ていない。 | 希望変更と決めつけず、注文を確認する。 |
| 交換の相談 | 商品の傷を示し、交換を希望する。 | 交換を決定する権限がない。 | 状況と希望を聞き、担当者に正確に伝える。 |
練習の進め方
- 条件を読む:英語にする前に、何が分かっていて何が不明かを確認する。
- 一度話す:止まったら、聞き返す・見せてもらう・確認する表現を使う。
- 役を交代する:相手の英語を聞いて、どこが分かりやすかったか伝える。
- 条件を一つ変える:青を赤にする、数量を変える、別の色でもよいことにするなど、返答を変える。
読む速さを競う必要はありません。色や数字を変えたときに、注文を復唱できたか、対応が変わることに気づけたかを確かめましょう。
振り返りのチェック項目
- 相手の希望を、自分の言葉で言い直せた。
- 分からない部分を曖昧にせず確認した。
- 確認した事実と、まだ分からないことを分けて伝えた。
- 在庫・入荷日・交換などを根拠なく約束しなかった。
- 必要なときに担当者へつなぐ一文を言えた。
これは練習の振り返り用で、英語力の認定基準ではありません。できなかった項目を一つ選び、次の練習でその動作を入れてみてください。
一人でも接客英語を練習できる?よくある質問
練習相手がいない場合は?
お客様の台詞だけを見て返答し、その後で例を確認する方法があります。自分の声を録音するなら、架空の条件で行い、実際のお客様の会話や個人情報を教材に混ぜないようにしましょう。次の日に数量や商品を変えると、丸暗記した順番に頼っていないか確かめられます。
例文どおりに言えなかったら間違い?
同じ意味を伝える表現は複数あります。まずは相手の希望を確認できたか、事実に合った説明かを見ます。短い文で伝わっていても、数量や商品の取り違えがあれば確認し直します。表現を増やすときは、場面別の基本フレーズ集に戻って、必要な一文を追加してください。
次に何を練習すればよい?
自分の職場でよくある一場面を、架空の商品名と条件で会話にしてみましょう。「何と言うか」だけでなく、「相手が違う答えを返したら何を確認するか」まで準備します。基礎から学習計画を作る場合は、英語学習のロードマップを参考に、語彙・文法・聞く練習・話す練習を組み合わせてください。
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