日本人がスイスに住むには、90日を超えて滞在する場合、目的に合った滞在許可が必要です。主な方法は、スイスの会社で働く、若手の専門職として働く(ヤングプロフェッショナル)、留学、家族と暮らす、55歳以上でリタイア後に暮らす、などです。ただし、EU・EFTA以外の国の人がスイスで働けるのは、原則として大学を出て経験を積んだ管理職・専門職などの高度な人材に限られ、受け入れの人数にも上限があるため、スイス移住の難易度は高いと考えておきましょう。
この記事では、スイスに住むための条件と方法、仕事探しのポイント、永住権(C許可)と国籍の条件、スイスに住むメリット・デメリット(悪いところ)、生活費と地域の選び方を、2026年9月時点の公式情報で整理しました。書いているのは、セブ島で英語とITを学べる留学を運営するKredo(クレド)の編集部です。制度は変わることがあるので、最新の情報は駐日スイス大使館や住む予定の州の移民局で確認してください。

- 観光などの90日以内はビザなし。90日を超える・働くなら、出発前に州の移民局の「入国許可の確約」が必要
- EU・EFTA以外の人が働けるのは、原則として高度な人材。2026年の受け入れ枠は8,500人
- 日本人は「ヤングプロフェッショナル」の協定で、最長18か月働ける制度がある(ワーホリはない)
- 永住(C許可)は、原則として合計10年の滞在などが条件。国籍は10年の居住とC許可が必要
- メリットは給与水準と自然、デメリットは物価・健康保険・言葉・仕事の見つけにくさ
スイス移住の条件と難易度:日本人がスイスに住むには
日本とスイスの間には査証免除の取り決めがあり、観光などを目的とした90日以内の滞在ならビザは不要です(シェンゲン協定の国全体で、あらゆる180日のうち90日まで)。90日を超えて住む場合や働く場合は、次のような方法で滞在許可を得る必要があります。
| 方法 | 主な条件(2026年9月時点) | 難易度の目安 |
|---|---|---|
| スイスの会社で働く | 管理職・専門職などの高度な人材で、大学などの学位と実務経験があること。スイスやEU・EFTAの国で適任者が見つからないことを雇用主が示す必要がある | 高い |
| ヤングプロフェッショナル | 学位(学士以上)や2年以上の職業訓練を終えていること。学んだ分野の仕事に就く。最長18か月 | 中(仕事は自分で探す) |
| 留学 | 認められた教育機関への入学、学ぶ計画、生活資金などを示すこと | 中 |
| 家族と暮らす | スイスに住む家族(配偶者など)との関係と、条件を満たすこと | 家族の在留資格による |
| リタイア後に暮らす | 55歳以上、スイスと特別な個人的つながりがあること、十分な資金があること | 高い |
なお、日本とスイスの間にはワーキングホリデー制度はありません(日本の外務省が公表する協定国にスイスは含まれていません)。若いうちにスイスで働いてみたい人は、ヤングプロフェッショナルの制度を確認しましょう。
スイスに移住するまでの流れ
- 出発前:90日を超えて滞在する人や働く人は、スイスの雇用主や関係者を通じて、住む予定の州の移民局が出す「スイス入国許可の確約書」を取ります。
- 入国後:確約書を持って入国し、州の移民局などで滞在許可の手続きをします。
- 健康保険:スイスに住む人は、住み始めてから3か月以内に健康保険(基礎保険)に加入する義務があります。期限内に入れば、住み始めた日から保険が適用されます。
- 日本側:海外に3か月以上住む場合は外務省に在留届を出し、住民票・年金・保険・住民税の扱いを市区町村で確認します。
スイスで働くには?仕事探しのポイント

「スイス 仕事探し」で最初に知っておきたいのは、EU・EFTA以外の国の人は、仕事を見つけてから許可を取るという順番です。スイス移民事務局(SEM)によると、EU・EFTA以外の人がスイスで働けるのは、原則として管理職・専門職などの高度な人材で、大学などの学位と数年の実務経験があることが基本です。長く住む予定なら、仕事や社会になじめるか、言葉の力、年齢なども見られます。
さらに雇用主は、スイスやEU・EFTAの国で適任者が見つからなかったことを示す必要があり、給与や労働条件もその地域・職種の水準に合っている必要があります。
2026年の受け入れ枠は8,500人
スイス連邦政府は、EU・EFTA以外の国から受け入れる専門人材の数に上限を設けています。2026年の枠は2025年と同じ8,500人(滞在許可Bが4,500人、短期滞在許可Lが4,000人)です。
ヤングプロフェッショナル(日本が対象)
スイスは日本などと若手の専門職の交流の協定を結んでいます。学士以上の学位や2年以上の職業訓練を終えた人が、専門や言葉の力を伸ばすために、最長18か月スイスで働ける制度です。学んだ分野・専門の仕事に就くことが条件で、パートタイムや自営業はできません。仕事は自分で見つけ、申請は自分の国の担当窓口で行います。
スイスの隣国で、同じくドイツ語圏のドイツと比べてみたい人は、ドイツへの移住のメリット・デメリットとビザも参考にしてください。
スイスの永住権(C許可)の条件
スイスで永住権にあたるのが「C許可(Niederlassungsbewilligung/settlement permit)」です。期限も条件もなく住める許可で、スイスの外国人統合法では、主に次の条件が定められています。
| パターン | 主な条件 |
|---|---|
| 原則 | 短期滞在許可(L)や滞在許可(B)で合計10年以上スイスに住み、最後の5年は続けてB許可を持っていること。取り消しの理由がなく、社会になじんでいる(統合されている)こと |
| 早めに取れる場合 | 最後の5年間続けてB許可で住み、上の条件を満たし、住んでいる地域の国語(ドイツ語・フランス語・イタリア語など)でうまくコミュニケーションがとれること |
学ぶための滞在などの一時的な滞在は、原則として「最後の5年」には数えられません。C許可を取るには言葉の要件もあるため、スイスに長く住みたいなら、住む地域の言葉を早めに学び始めることが大切です。
スイス国籍のメリットと、日本人が知っておくべき注意点
スイス国籍を取ると、滞在許可の更新が不要になり、国民投票や選挙に参加できるなど、スイス社会の一員としての権利が得られます。スイス国籍の取得(通常の帰化)には、10年以上スイスに住み、C許可を持っていることが連邦の条件です(8〜18歳の間に住んだ年数は2倍に数えられます)。さらに、住んでいる州や自治体の条件もあります。
ただし、日本人にとって大切な注意点があります。日本の法律では、自分の意思で外国の国籍を取ると、日本の国籍を自動的に失います。スイス国籍のメリットだけで判断せず、日本国籍を失うことの影響(日本での暮らし、家族、パスポートなど)も含めて慎重に考えましょう。
スイスに住むメリット(住みやすさ)

給与の水準が高い
スイス連邦統計局によると、2024年のフルタイムの給与(総額)の中央値は月7,024スイスフランでした。専門職として採用されれば、高い水準の給与を得られる可能性があります。ただし、物価や保険料も高いため、手元に残る金額で考えることが大切です。
自然が身近で、アウトドアを楽しめる
アルプスの山や湖が身近にあり、ハイキングやスキーなど、自然の中で過ごす時間を楽しめます。都市からも自然にアクセスしやすいのが魅力です。
いくつもの言葉と文化にふれられる
スイスには、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つの国語があります。連邦統計局の調査では、家庭などでふだん話す言葉は、スイスドイツ語が57%、フランス語が23%、ドイツ語(標準語)が11%、イタリア語が8%で、英語も6%でした。地域によって言葉や文化が変わるのは、スイスならではの面白さです。
ヨーロッパの国々へ移動しやすい
スイスはヨーロッパの中央に位置し、シェンゲン協定の国でもあります。周りのドイツ・フランス・イタリアなどへ鉄道や車で移動しやすく、休日の旅行も楽しめます。
スイスに住むデメリット・悪いところ

「スイス 悪いところ」「スイス 住む デメリット」で調べる人が知りたいのは、住んでから困ることでしょう。主な点をまとめました。
| デメリット | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 物価・家賃が高い | 食費・外食・家賃など、生活費が高くなりやすい | 給与だけでなく、家賃・保険料を引いた手取りで生活できるか計算する |
| 健康保険が義務 | 住み始めて3か月以内に健康保険に入る必要があり、保険料は自分で払う | 保険料を毎月の固定費として予算に入れる |
| 言葉が地域で違う | 住む州によって、ドイツ語・フランス語・イタリア語など使う言葉が違う。C許可にも言葉の要件がある | 住む地域を決めたら、その地域の言葉を学び始める |
| 仕事を見つけにくい | EU・EFTA以外の人は高度な人材に限られ、受け入れ枠もある | 専門スキルと実務経験を積み、仕事を先に決める |
| 永住・国籍まで長い | C許可は原則10年、国籍も10年の居住とC許可が必要 | 長期の計画を立て、許可を更新できる仕事と収入を確保する |
スイス移住で人気の地域
スイスは地域によって使われる言葉が違うため、「どの言葉で暮らすか」も地域選びのポイントになります。
| 都市 | 主な言葉 | 特徴 |
|---|---|---|
| チューリッヒ | ドイツ語 | スイスを代表する大都市で、金融・ITなどの企業が集まる |
| ジュネーブ | フランス語 | 国際機関が多く、国際的な雰囲気の街 |
| バーゼル | ドイツ語 | ドイツ・フランスとの国境にあり、製薬などの産業で知られる |
| ローザンヌ | フランス語 | レマン湖に面した大学の多い街 |
| ルツェルン | ドイツ語 | 湖と旧市街が美しい観光都市 |
ヨーロッパのほかの国と移住先を比べたい人は、ヨーロッパに移住したいなら何をすべき?流れや習得しておきたいスキルも参考にしてください。
スイス移住にかかる費用と生活費の考え方
スイスは給与の水準が高い一方で、生活にかかるお金も多くなりやすい国です。移住を考えるときは、「いくら稼げるか」だけでなく「いくら出ていくか」をセットで見積もりましょう。移住の前後にかかる主な費用は次のとおりです。
| 費用の項目 | 内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 渡航・引っ越し | 航空券、荷物の輸送 | 家具付きの部屋にするか、家具を買いそろえるか |
| 住まいの初期費用 | 敷金にあたる保証金、最初の家賃、家具・家電 | 契約の条件と、入居までにかかる期間 |
| 毎月の家賃 | 都市や広さで大きく変わる | 通勤の便と家賃のバランス |
| 健康保険料 | 住み始めて3か月以内に加入する基礎保険の保険料 | 家族の人数分。免責額(自己負担)の設定で保険料が変わる |
| 毎日の生活費 | 食費、交通費、通信費、日用品 | 外食を減らすなど、暮らし方で調整できる部分 |
| 語学学校 | 住む地域の言葉を学ぶ費用 | C許可や仕事で求められる言葉のレベル |
| 日本で続く支払い | 住民税、国民年金、保険など | 住民票を移すかどうかで変わる |
仕事が決まっている場合は、雇用主から示された給与から、税金・社会保険料・健康保険料・家賃を引いて、毎月いくら残るかを計算しておくと安心です。仕事が決まる前に移住するのは、滞在許可の面でも生活費の面でもリスクが大きいため、おすすめできません。
スイス移住を成功させる5つのポイント
- 目的と方法を決める:「スイスの会社で働く」「若手の専門職として経験を積む」「大学で学ぶ」「家族と暮らす」など、目的から使える方法をしぼります。
- 仕事を先に決める:EU・EFTA以外の人は、雇用主が見つかってから滞在許可の手続きが進みます。自分の専門分野の求人を探し、応募に必要な経歴と書類(英語の履歴書など)を準備します。
- 住む地域の言葉を学ぶ:仕事は英語でも、役所や生活、C許可の条件では地域の国語が必要です。住む州が決まったら、その言葉を学び始めましょう。
- お金の計画を立てる:初期費用と、最初の数か月分の生活費を用意します。健康保険料は毎月の固定費として忘れずに入れておきます。
- 手続きの期限を守る:入国後の州での手続き、3か月以内の健康保険の加入、日本の在留届などを、予定表に書き込んでおきます。
スイスで働くための力をつけるなら「英語×IT」から
スイスで働くには、専門スキルと実務経験、そして言葉の力が求められます。国際的な職場では英語が使われることも多く、英語で仕事ができる力と専門スキルの組み合わせは、スイスに限らずヨーロッパや世界で働くときの土台になります。
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スイス移住のよくある質問
Q. 日本人がスイスに移住するのは難しいですか?
難易度は高めです。EU・EFTA以外の国の人が働けるのは、原則として学位と実務経験のある高度な人材で、2026年の受け入れ枠も8,500人と決まっています。ヤングプロフェッショナル(最長18か月)や留学から始める方法もあります。
Q. スイスにワーキングホリデーで行けますか?
日本とスイスの間にワーキングホリデー制度はありません(2026年9月時点)。代わりに、学位や職業訓練を終えた若手が最長18か月働ける「ヤングプロフェッショナル」の協定があります。
Q. スイスの永住権(C許可)は何年で取れますか?
原則として、合計10年以上スイスに住み、最後の5年は続けて滞在許可(B)を持っていることなどが条件です。住んでいる地域の国語でうまくコミュニケーションがとれるなどの条件を満たせば、5年で取れる場合もあります。
Q. スイスで退職後に暮らすことはできますか?
55歳以上で、スイスと特別な個人的つながり(以前に長く住んだことがある、近い家族がスイスにいるなど)があり、十分な資金がある人は、リタイア後の滞在が認められる場合があります。
Q. スイスに住むと健康保険はどうなりますか?
スイスに住む人は、住み始めてから3か月以内に健康保険(基礎保険)に加入する義務があります。家族も一人ひとりが加入します。保険料は自分で払うため、生活費の予算に入れておきましょう。
まとめ:スイス移住は「仕事を先に決める」ことから始めよう
- 90日を超えて住む・働くなら、出発前に州の移民局の入国許可の確約が必要
- EU・EFTA以外の人が働けるのは原則高度な人材。2026年の受け入れ枠は8,500人
- 日本人はヤングプロフェッショナル(最長18か月)の制度も使える。ワーホリはない
- C許可は原則10年、国籍は10年の居住とC許可が必要。外国籍を取ると日本国籍を失う
- メリットは給与水準と自然、デメリットは物価・健康保険・言葉・仕事の見つけにくさ
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