このような疑問にお答えするべく、RubyとPHPを5つの項目で比較し、その違いを紹介します。
具体的には、次の順番でお話していきます。
- 比較1:設計思想の違い
- 比較2:サービス開発事例、できること
- 比較3:人気度
- 比較4:習得難易度
- 比較5:将来性
- 結局どちらを選ぶべき?その答え
これからプログラミング言語を学びたいと考えている方、RubyとPHPのどちらを学ぶべきか迷っている方向けの記事です。
どちらを選ぶべきか、その答えまで解説していますので、ぜひご覧ください。
記事のもくじ
RubyとPHPの比較1:設計思想の違い
はじめに、RubyとPHPの設計思想の違いを比較してみましょう。
プログラミング言語はそれぞれ開発された思惑(設計思想)が異なります。
学習する言語を選ぶ際には、設計思想を把握しておくことでスムーズに学習を進められるようになります。
Rubyは「ストレスなくプログラミングを楽しむこと」
Rubyは1995年ごろに日本人の「まつもとゆきひろ氏」によって開発された言語です。
同氏は、Rubyの設計思想について「最も重視しているのはストレスなくプログラミングを楽しむこと」と語っています。
Rubyの言語仕様はなるべく同一の書き方で、同一の目的を達成できるように作られています。
そのため、グループで開発を行う際に高いメンテナンス性が保てるのです。
Rubyでは「Ruby on Rails」と呼ばれるWebアプリケーションフレームワークが非常に有名です。
そのRuby on RailsにおいてもRubyの設計思想に基づいて作成されているため、多数の開発者の間で共通した認識を持ったまま開発を行えます。
PHPは「動的Webページを簡単かつ迅速に開発すること」
PHPは1995年ごろにカナダ人の「ラスマス・ラードフ氏」が利用していたツールが元となった言語です。
同氏がWebサイトで簡単な動的Webページを作成するために利用していた「Personal Home Page Tools」が起源となっています。
その後、人気が高まるにつれてさまざまな改良を続けていき、今日のPHPへとつながっています。
なお、PHPにはRubyのように厳密な設計思想が公表されていません。
しかし、PHPの成り立ちから「動的Webページを簡単かつ迅速に開発すること」が、PHPの設計思想と言えるでしょう。
そして、同氏がインタビューで答えた「比較的誰でも簡単に習得できること」がコンセプトのプログラミング言語なのです。
RubyとPHPの比較2:サービス開発事例、できること
RubyとPHPはどちらもWebサービス・Webアプリケーション開発でよく利用されるプログラミング言語です。
具体的なサービス開発事例を知りたい方も多いのではないでしょうか。
ここでは、それぞれの言語で開発された主要なサービスの事例を紹介します。
Rubyは「Hulu」「Cookpad」など
Rubyで開発されたWebサービス・Webアプリケーションの事例は、フレームワークとして「Ruby on Rails」が利用されています。
具体的には、次に挙げるようなサービスがRuby on Railsで開発されました。
- Hulu
- GitHub
- Shopify
- Cookpad
- Gunosy
- 食べログ
など
海外・日本を問わず、有名なWebサービス・WebアプリケーションでもRubyを使って開発されていることがわかります。
そのほかにも、Webサイトやスマホアプリ、SNSサイトなどのさまざまな分野の開発が行え、汎用性が高い点が特徴です。
PHPは「Facebook」「Wikipedia」など
PHPで開発されたWebサービス・アプリケーションの事例では、複数のフレームワークが利用されています。
ここではフレームワークに関しては深く触れませんが、興味のある方は別記事にまとめていますので、そちらをご参照ください。
また、PHPの開発事例としては、次のようなものが挙げられます。
- Wikipedia
- Slack
- ぐるなび
- WordPress
など
世界中のWebサイトの約35%がWordPressで作成されており、PHPを理解することは多くのWebサイトの仕組みを理解することに繋がるでしょう。
「もっと多くの事例を知りたい」という方は、別記事で詳しくまとめていますので、そちらをご参照ください。
RubyとPHPの比較3:人気度
RubyとPHPの人気度を比較すると、PHPのほうが人気は高いといえます。
オランダに拠点を置くTIOBE Companyが作成しているプログラミング言語ランキング「TIOBE Index」によると、2020年7月時点でPHPは9位、Rubyは16位という結果に。
また、日本の日経XTECHが調査した「プログラミング言語人気ランキング2020」を参照しても、PHPのほうが人気は高いといえます。
日経XTECHの調査では、PHPが9位・Rubyが13位という結果でした。
この調査では、440人のITエンジニアを対象にWebアンケートを取ったものであり「現在使っているプログラミング言語は何ですか」という問いに答えてもらった結果です。
これらの結果から、世界的に見ても人気度はPHPのほうが高いことがわかります。
RubyとPHPの比較4:習得難易度
これからRubyとPHPのどちらかを学ぶべきか考えている方にとって、「どちらのほうが身につけやすい?」という疑問は当然出てくるでしょう。
結論からいえば、どちらもスクリプト言語であり、C言語などと比べると習得しやすい言語です。
そのため、どちらかのほうが習得しやすいとはいい切れません。
しかし、汎用性の高さを考えると、Web開発のみを行いたい場合はPHPのほうが習得しやすいかもしれません。
Rubyは汎用性が高く、Web開発以外の用途でも使用できますが、PHPはWeb開発以外はできないと考えて良いでしょう。
HTML/CSSとあわせてPHPを学習する場合も多く、HTML/CSSの知識があればPHPのほうが易しく感じるかもしれません。
基本的には、Ruby・PHPともに初心者でも扱いやすい言語ですが、強いていえばPHPの習得難易度のほうが低いと言えるでしょう。
RubyとPHPの比較5:将来性
エンジニア、プログラマとして働くことを考えると、RubyとPHPを習得したあとの将来が気になるところでしょう。
それぞれの言語別に、平均年収や求人案件数を比較していきます。
平均年収はRubyに軍配が上がる
2016年から2018年までのデータをもとに比較してみると、総じてRubyのほうが平均年収が高い傾向にあることがわかります。
以下の表は、ビズリーチが公表した年収ランキングをもとに比較したものです。
PHP | Ruby | |
2016年 | 538万円 | 606万円 |
2017年 | 522万円 | 562万円 |
2018年 | ランク外 | 550万円(年収中央値) |
求人検索エンジン「スタンバイ」調べ
2018年のデータでは、平均年収ではなく年収中央値となっている点にご注意ください。
ベスト10が発表されていますがRubyは8位であり、PHPはランク外という結果となっています。
しかし、2016年から比較してもRubyのほうが高い年収を得られる傾向にあることがわかるでしょう。
(参照元)
求人案件数はPHPのほうが多い
日本における求人案件数は、PHPのほうが圧倒的に多い結果となっています。
ITエンジニア専門エージェントのレバテックキャリアの調査によれば、2018年度の新規求人案件ランキングで2位PHP、3位Rubyと公表されています。
割合的にもPHPはRubyの約2倍ほどです。
また、複数の求人サイトの求人数を定期的に集計している「Nojov」のデータを参照してみます。
こちらのデータはほぼ最新といえ、2020年7月16日現在で2位PHPの求人数が4,042件、4位Rubyの求人案件数は2,218件という結果に。
こちらでも、PHPはRubyの約2倍ほどとなっており、求人案件数に関してはPHPに軍配があります。
結局RubyとPHPはどっちを学べばいい?
ここまで、5つの比較をしてきましたが、結局RubyとPHPはどちらを学ぶべきなのでしょうか。
結論をいってしまえば、明確な答えはありません。
結局のところ、RubyやPHPを使ってあなたが何を開発したいのかという「目的」によるからです。
RubyやPHPといったプログラミング言語は、目的を達成するための「手段」でしかありません。
たとえるなら、目的地への移動手段として電車を選択するか、バスを選択するかといった違いだけなのです。
もちろん、それぞれの言語に特徴があるため向き不向きも存在しますが、あなたの目的を達成するために最適な手段を選択することが重要となります。
「手早くWebサービスを作りたい」「手に職をつけて働きたい」ということであればPHPを、「Webサービスだけでなく、スマホアプリも作りたい」「高収入を得たい」ということであればRubyを選択してみてはいかがでしょうか。
まとめ:「RubyとPHPどっち?」は目的にあわせて選択することが重要
RubyとPHPはともにWebサービス・Webアプリケーションの開発用途で利用されることが多く、初心者でも扱いやすいプログラミング言語です。
それぞれに得意・不得意が存在しますが、サービス開発事例で紹介したように、開発できるサービスに差があるわけではありません。
細かく比較すると、人気度はPHPが高い、平均年収はRubyが高い、などの違いがありますが、最終的にはあなたの目的に合わせて選択することが重要です。
習得難易度に関しても、強いていえばPHPのほうが低いといえなくもないですが、大きな差はなくどちらも使いやすい言語と言えるでしょう。
また、プログラミング言語はいずれか一つのみを選択しなければならないということはありません。
まずは、特に興味のある言語から学び、ある程度身につけたらその他の言語に挑戦してもよいでしょう。
この記事の内容を参考に、まずはRuby・PHPから選択し、はじめてみてはいかがでしょうか。