アイキャッチはAI生成のイメージです。実在の参加者や研修の様子、学習効果を示すものではありません。
社内勉強会の後に「満足でした」という回答が集まっても、次回の実践時間を増やすべきか、復習資料を用意すべきかは決まりません。聞いていないことまで、満足度から読み取ろうとしているためです。
AIでアンケートを作るときは、先に「回答を見て、何を決めるか」を一つの文にします。そのうえで、設問・選択肢・集計方法を組にして点検すると、集めた後に使い道で迷いにくくなります。
この記事では、架空の社内勉強会について、AIで実際に作成した初稿を見直し、5問のフォームに整えます。目指すのは、主催者が次回の時間配分とフォローを検討できる状態です。参加者の能力や研修の因果効果を証明する調査ではありません。
研修・フォームは説明用の架空設定です。初稿は2026年10月9日に内部AIで1回生成して原文を保存し、別途、完成版を編集しました。実際の参加者への配布、回答の収集、Microsoft Formsの画面操作は行っていません。
この記事の目次
AIに頼む前に、次回決めたいことを固定する
今回は「次回60分の中で個人ワークの時間をどう配分し、終了後に何を補うか」を決めるために聞きます。「勉強会をよくしたい」だけでは広すぎるため、主催者が実際に変更できる範囲まで絞ります。
勉強会:日々の定型業務を3つの手順に整理する、60分の社内向け講座。
対象:自分の担当業務を持つ社員。まだ担当業務を知らない新入社員向けではありません。
学習目標:機密を含まない自分の定型業務を1つ選び、3つの手順に分けて下書きできること。
今回の配分:説明35分、個人ワーク15分、共有10分。次回も全体で60分。
回答条件:終了直後、任意の5問以内、自由記述は最大1問。回答3分以内を目標にします。所要時間は実測していません。
学習目標とアンケートの目的は別に書きます。「3つの手順に分けられたか」を評価するなら、実際の下書きを基準に沿って見る方法が必要です。この5問は、時間配分と支援を見直すための参加者の受け止めを集めます。
CDC(米国疾病予防管理センター)の研修評価の解説も、受講者の満足度だけでは研修の有効性を判断できず、終了直後のアンケートだけで学習や仕事への応用を客観的に評価できないと説明しています。「高評価だった」と「できるようになった」を同じ意味で報告しないことが出発点です。
固定条件を渡し、AIで初稿を1回作る
AIには、講座名だけでなく、対象・目的・時間・回答負担を渡します。今回使った入力は次のとおりです。社内の実データや個人情報は含めていません。
実際に使った入力文を開く
あなたは社内勉強会の主催者を支援します。架空の勉強会は「日々の定型業務を3つの手順に整理する」60分の社内向け講座です。対象は自分の担当業務を持つ社員で、新入社員研修ではありません。内容は説明35分、個人ワーク15分、共有10分。学習目標は、自分が担当する機密を含まない定型業務を1つ選び、作業を3つの手順に分けて下書きできることです。終了直後に回答してもらい、主催者は次回60分内で実践時間をどう配分するか、終了後にどんなフォローを用意するかを決めます。5問以内、回答3分以内が目安。氏名・部署・メールアドレスを尋ねず、すべて任意回答。自由記述は最大1問。専門用語を避け、回答方法と選択肢を含む完成アンケート案を日本語で作ってください。満足度だけで技能や効果が証明できるとは扱わず、回答者が機密や個人名を書かない注意も入れてください。
生成された初稿は、①個人ワークでどこまで進んだか、②進めにくかったところ、③次回60分の配分、④役立ちそうなフォロー、⑤伝えておきたいこと、という5問でした。任意回答や機密を書かない注意も入り、配分案の合計はすべて60分でした。
この初稿に、明白な誘導表現や、別々の評価を一つの尺度で答えさせる設問は見当たりませんでした。5問目には時間配分とフォローの両方が出てきますが、自由に補足する任意欄なので、直ちに「二つ聞きで無効」とは判定しません。今回は書く負担を抑えるため、完成版で「一つ」に絞りました。
一方、原案の進捗は自己申告であり、下書きの正確さまでは分かりません。また、フォローの希望が集まっても、仕事で試す時間や機会そのものがなければ、資料を追加するだけでは対応しきれません。5問の枠を使い直し、仕事との関連、利用意向、予想する障壁を残す方針にしました。
直すのは文章だけでなく、集まる情報の範囲
図1 AI初稿から、今回の判断に合わせて選び直す
初稿の問3:具体的な配分案を選ぶ
「次回も全体で60分とした場合、どの時間配分がよいと思いますか?」
選択肢には「今回と同じ:説明35分・個人ワーク15分・共有10分」「個人ワークを増やす:説明30分・個人ワーク20分・共有10分」など、5つの配分案と「わからない」がありました。
点検:合計時間は正しい。ただし、示した配分案への好みを聞く設計です。主催者が候補を決めていない段階では、個人ワークの長さについて先に聞く方が今回の検討に使いやすいと判断しました。
完成版の問2:15分の受け止めを聞く
「今回、個人ワークに使った15分は、あなたにとってどうでしたか?」
短すぎた/やや短かった/ちょうどよかった/やや長かった/長すぎた/取り組んでいないため判断できない/その他の理由で判断できない。
判断の限界:増減の検討材料にはなるが、必要な分数や、説明と共有のどちらを削るかは決まらない。
初稿の問4:希望するフォローを2つまで
記入用紙、架空の記入例、確認項目、質問できる時間、復習資料から選び、「今のところ必要ない」「わからない」は単独回答とする案でした。
点検:優先したい支援を聞くには使える。ただし、選ばれなかった支援が不要とは限らず、支援以外の障壁は分からない。
完成版の問4:予想する障壁を複数回答で聞く
追加説明、記入例、相談先に加えて、使う時間、対象の業務・機会、職場での調整も選べるように変更。
変更の意味:「欲しい支援」から「使う際に難しそうな点」へ、測る内容を変えています。AIの誤答を修正した、という扱いではありません。
別の初稿を点検するときの3つの視点
次は確認の仕方を説明するための編集部の作例です。今回のAI初稿に含まれていた誤りではありません。
- 誘導:「役立つ講座でしたよね」では肯定を求める響きになります。「自分の担当業務との関係をどう感じたか」のように、肯定も否定も選べる聞き方にします。
- 二つ聞き:「説明と資料は分かりやすかったですか」に一つの評価を付けると、説明だけ分かりやすかった人が困ります。両方が必要なら別々に聞き、5問に収めたいなら今回の判断に必要な方を残します。
- 選択肢不足:「よかった/とてもよかった」だけでは、否定的な人も、参加していない人も答えられません。評価の両方向に加え、その問いに必要な「判断できない」「対象外」を検討します。
なぜ、この5問を残したのか
設問を選ぶ参考にしたのは、CDCの研修後評価の設問ガイド、本文8〜9ページです。設問の一覧だけでなく、選定理由と注意点の欄も確認しました。以下は全文翻訳や公式日本語版ではなく、この架空の講座に合わせた編集部の設計です。
- 仕事との関連。ガイドは業務との関連を扱い、まだ職場を知らない人には聞き方を変える注意を示しています。今回は担当業務がある社員なので、自分の仕事に結び付けて回答できる設定です。関連が薄い場合、演習時間だけを増やす前に、例題や対象者を見直す材料になります。
- 実践時間の受け止め。ガイドは講義と参加型活動のバランスを扱っています。ここでは主催者が変えたい個人ワーク15分に絞ります。講座全体の品質や、最適な時間配分を測る尺度にはしません。
- 利用意向。ガイドが区別するように、終了直後に聞けるのは今後使おうとする意向です。今回は「今後2週間」という期間を編集部で追加し、回答者が想像する時期をそろえました。2週間があらゆる講座に適切という意味ではありません。
- 使う際の障壁。ガイドの理由欄では、追加の支援が必要なのか、職場環境に難しさがあるのかを知る用途が示されています。今回も「資料不足」と「時間・機会不足」を分け、主催者が対応できることを見極めます。
- 補足を一つ。自由記述は選択肢にない具体的な事情を拾うために残します。ガイドは、読んで分析する余力がなければ自由記述を含めないよう注意しています。今回は主催者が全件を読む運用を前提にします。
満足度や講師への評価も、目的によっては必要です。ただし、この5問へ自動的に足すと回答負担が増えます。何を変えるために使うのか説明できない項目は、今回は採用しません。
完成した5問フォームを、回答者の目線で読む
下の見本は文章と選択肢を確認するためのものです。入力や送信はできません。各問の「任意」を残し、答えない選択を尊重します。
終了後アンケート・見本
日々の定型業務を
3つの手順に整理する
次回の時間配分と、講座後のフォローを考えるために使います。終了直後の考えをお答えください。全5問・任意回答。3分以内を目標にした設計です。
氏名・部署・メールアドレスは尋ねません。自由記述に個人名、顧客情報、社内の機密を書かないでください。回答だけで技能や仕事への効果を判定するものではありません。
1. 今日扱った内容は、今のあなたの担当業務にどのくらい関係がありますか?
任意・一つ選択
2. 今回、個人ワークに使った15分は、あなたにとってどうでしたか?
任意・一つ選択
3. 今後2週間で、今日の方法を自分の業務の手順整理に使ってみようと思いますか?
任意・一つ選択
4. 今日の方法を自分の業務で使うとしたら、難しそうな点はありますか?
任意・当てはまるものをすべて選択
「特にない」「まだ判断できない」は、それぞれ単独で選んでください。問3で使うつもりがない・対象外を選んだ方も回答できます。
5. 次回の勉強会や講座後のフォローについて、主催者に伝えておきたいことがあれば、一つ教えてください。
任意・自由記述。ひと言でも構いません
問4の「その他」の補足もこちらへ。個人名、顧客情報、機密は書かないでください。
問3の「対象外」は、使いたくない人と、期間内に使う機会がない人を混ぜないために用意しました。問4は全員に見せ、前向きな人にも障壁を答えてもらう設計です。条件分岐を使う設計もありますが、今回の見本には入れていません。
実際に配布する前には、対象に近い人に試し読みをしてもらい、「どの場面を思い浮かべたか」「当てはまる選択肢があるか」「どの程度時間がかかったか」を確かめます。3分という目標を超えるなら、文字を詰め込まず、判断に使わない項目から減らします。
集計では、各問が答えられる範囲を守る
まだ回答は集めていないので、ここに回収率や改善効果の数字はありません。実務では、まず選択肢ごとの件数を見ます。5問を合算した「研修成功スコア」は作りません。
- 問1:関連があるという回答
- 参加者が仕事とのつながりを感じたことは分かります。業務成績が上がったかは分かりません。関連が薄い回答が気になる場合は、説明の速さより、扱った業務例や対象の合い方を見直します。
- 問2:15分が短かったという回答
- 時間の受け止めが分かります。理解不足、課題の難しさ、作業の遅れのどれが理由かは、この問だけでは分かりません。問4・5も読んでから、実践時間を増やすのか、課題や説明を調整するのかを検討します。
- 問3:使ってみようという回答
- 2週間の利用意向が分かります。実際に使った人数ではありません。使用の有無を確かめたいなら、仕事で試す機会を持てる時期に別途確認する計画が必要です。後日の自己申告にも限界があるため、必要なら成果物等の確認方法も別に設計します。
- 問4:追加説明、時間、機会などの回答
- 予想される障壁が分かります。追加説明や記入例なら、短い補足資料を検討できます。時間・機会・調整なら、資料の配布だけで解決したことにはなりません。まだ実際に起きた障害だと断定もしません。
- 問5:一人からの具体的な意見
- 見落としていた論点や改善案の手掛かりになります。自由記述は書いた人の意見なので、そのまま参加者全体の傾向にはできません。同じ意見の件数と、重要性も分けて考えます。
無回答・対象外・分からないを、低評価に変えない
- 無回答:その問に答えがない状態です。理由は分かりません。「不満」「支援不要」「使わない」に置き換えず、問ごとの無回答件数を残します。
- 対象外・判断できない:選択された一つの回答です。問2の「取り組んでいない」と、問3の「業務の予定がない」は意味が違います。評価の5択と別に件数を示し、平均点の0点などへ変換しません。
- 割合の分母:問3の前向きな回答の割合を出すなら「意向の5択を選んだ人数」を分母にしたことを明記し、対象外と無回答の件数も併記します。参加者全体の利用予定率とは書きません。少人数なら件数のまま伝える方法もあります。
- 問4の複数回答:各選択肢の件数を数えます。割合を出す場合の分母は、矛盾なく問4に回答した人数とし、「特にない」「まだ判断できない」も含むことを注記します。合計が100%を超える場合があります。
- 矛盾した選択:問4で「特にない」または「まだ判断できない」と他の選択肢が同時に選ばれた場合(この2つを同時に選んだ場合も含む)は、勝手に片方を採用しません。問4の集計では矛盾回答として別件数にし、他の有効な設問まで捨てない扱いを事前に決めます。
回収率を出すには、回答対象者数と、重複をどう扱うかが分かっている必要があります。匿名設定などにより一人一回答を確認できない場合、送信件数をそのまま回答人数にしません。答えた人と答えなかった人の意見が同じとも限らないので、集計は「今回回答した人について」と範囲を添えます。
自由記述をAIにまとめてもらう前にすること
まず人が原文を読み、機密や個人を推測できる情報が入っていないか確認します。名前だけ消しても、部署、案件、出来事の組み合わせで分かる場合があります。外部AIに入力できるかは、会社のルールと利用環境を確認してください。この練習では、実際の回答文を入力する必要はありません。
分類するなら「時間」「例題」「フォロー」「その他」など仮の分類を決め、合わない意見を無理に押し込みません。一つの回答が複数分類に入るかを先に定め、分類別件数と回答者数を混同しないようにします。AIの要約は原文へ戻って確かめ、少数意見や否定的な意見が消えていないかを見ます。
報告では、特定されそうな自由記述の原文や少人数の内訳をそのまま配らず、必要な範囲で要約します。全問を一つの平均値にすると、時間不足と関連の薄さが見えなくなるため、次の判断につながる項目を分けて示しましょう。

Copilot in Formsを使う場合も、人が目的と設問を確認する
Microsoftの公式案内では、Copilot in Formsによる設問・選択肢の初稿作成や見直しが紹介されています。誘導的な質問、二つのことを一度に評価させる質問、曖昧な表現への提案も説明されています。ただし、提案機能があることと、今回の目的に適した設問になることは別に確認します。
2026年10月9日の公式案内では、利用にMicrosoft 365アカウントとCopilotライセンスが必要とされています。また、Forms内のCopilot Chatは商用のCopilotライセンス利用者向けで、個人向けにはチャット欄ではなく、AIクレジットに対応するライセンスで使う修正バーの案内があります。契約やアカウントによって表示が異なるため、自分の環境で最新条件を確認してください。本記事はその画面を操作した実証ではありません。
フォームへ移すときは、任意・必須、単一・複数選択、設問の順序を人が確認します。氏名欄がなくても、アカウント名やメールアドレスが自動記録される設定なら「匿名」とは言い切れません。誰が回答と自由記述を見られるか、保存先と保存期間も決めてから案内しましょう。
自分の勉強会に移すための、空欄メモ
次の項目を一枚に書きます。本文の5問を丸ごとコピーする前に、対象や実践時間、利用を想定する期間が自分の講座に合うかを確かめてください。
アンケート設計・集計準備メモをPDFで開く(A4・5ページ/印刷用の空欄教材。入力・送信機能はありません。設問ごとのページは必要な問数分を印刷して使います。)
回答を見て次回決めたいこと:______
対象者/実施内容/回答時点:______
主催者が変更できること:______
問__ 設問文と選択肢:______
この回答から分かること:______
この回答だけでは分からないこと:______
判断できない・対象外・無回答の扱い:______
数え方と分母/次に検討すること:______
試し読みで分かったこと/直した理由:______
AIへ再点検を頼むなら、「各問について、何を判断するためか、反対の答えを選べるか、二つの評価を一度に聞いていないか、答えられない人の扱い、集計から言えないことを示してください」と付け加えられます。指摘があったときも、今回のように測る内容を変えるのか、表現だけを直すのかを区別して採否を決めます。
一対一の会話に向けた質問準備は商談準備にAIを使う方法で扱っています。本記事は、同じ設問を複数の人に読んでもらうフォームの設計です。集計した割合や分母を英語で伝える練習には、英語でグラフを説明する練習も参考になります。
設問を作るときに、回答の使い方まで決めておく
今回の5問から得たいのは、仕事との関連、15分の受け止め、利用意向、予想する障壁、選択肢で拾えない補足です。それぞれを次回の検討に結び付け、まだ分からないことも残します。
AIの初稿は、目的に照らして選び直す出発点です。「何を聞くか」と同時に「この答えから、どこまで判断するか」を書ければ、アンケートを集める前に、改善のための準備が進みます。
本教材の5問を使っても、能力の向上や研修の因果効果を立証できるわけではありません。因果効果を判断したい場合には、比較条件や他の要因を含めた評価計画が別に必要です。
参考にした公式資料
- CDC:Evaluate Training: Measuring Effectiveness(ページ表示日:2024年10月28日)
- CDC:Recommended Training Effectiveness Questions For Postcourse Evaluations User Guide(資料内の推奨引用年:2019年。本文7〜10ページを参照、特に8〜9ページの設問・理由・注意点を確認)
- Microsoft Support:Welcome to Copilot in Forms(機能・利用条件の確認)
公式資料の確認日:2026年10月9日。著者:Kredo編集部。フォーム・空欄メモ・編集判断は本記事の説明用に作成したものです。
英語でIT・AIを学べるKredo
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