アイキャッチはAI生成のイメージです。実在の人物や実践記録を示すものではありません。
商談で「高いですね」と言われた瞬間、商品の良さを説明し続けてしまう。「今は要りません」に、どこまで質問してよいかわからない。そんな場面は、最初の返答を一度口に出し、相手の答えを受けて言い直す練習に切り分けられます。
AIを相手にした営業ロープレでは、聞き返す、確認できた範囲で返す、言い直す、同じ場面をもう一度試すという流れを作りましょう。最後に残すのは、AIの総合点よりも「変えた一文」と「まだ答えられない条件」です。相談を続けない、導入を見送るという結論も含めて練習します。
この記事では、実在する日程調整サービスCalendlyの公開条件を題材に、初回の会話、条件との照合、修正後の会話を示します。顧客は架空です。自社の商品に置き換えるときも、公開情報と顧客役の設定を分けて使えます。
会話例は2026年10月9日に、公開条件を固定してAIで作成した教材です。提案担当者・顧客の両役をAI生成し、初回を保存したうえで修正指示を加えました。実顧客との商談、利用者の能力向上を測った実験、CalendlyやMicrosoft製品の操作検証ではありません。
この記事の目次
AI営業ロープレでは、何を練習すればよい?
「うまく話す」だけでは、練習後に何を変えればよいかわかりにくくなります。たとえば「高い」に対して、すぐ値引きを提案せず、何と比べているかを一問で確かめる。ここまで小さくすると、録音や文章を見返す場所が決まります。
- 聞き返す:相手の意味がわからないところを、短い質問にする。
- 返答する:聞けた条件と、根拠のある商品説明を結び付ける。
- 言い直す:条件の抜け、質問の多さ、相手の希望の決め付けを見直す。
- 再練習する:同じ出だしで、直した一文を使って次の返事まで進める。
毎回すべてを直す必要はありません。今日は「質問を一つにする」、次は「未確認の料金を約束しない」と、一つずつ試せます。企業情報を調べて商談前の質問を選ぶ段階なら、AIを使った商談準備とヒアリング項目の作り方を先に確認してください。本稿は、相手から予想外の返事が来た後の練習です。
AIに渡す前に、商材の事実と架空の設定を分ける
相手役が自由に商品条件まで作ってしまうと、話しやすい返答を覚えても実務では使えません。まず、説明してよい事実を短く固定します。今回はCalendlyの公式料金・プラン説明を読み、次の範囲だけを使いました。
公開情報で確かめた商材条件
- Free:予約メニューに当たるイベントタイプは1種類、接続カレンダーは1つ。1対1の予約回数は無制限。
- Standard:イベントタイプは無制限、接続カレンダーは最大6つ。
- 確認した年払い表示:Standardは1席あたり月額換算US$10。1席・12か月なら単純計算でUS$120/年。月払いで毎月US$10という意味ではない。
- 席は主催者側の利用枠。招待されて予約する参加者の人数を、そのまま有料席数にしない。
出典:Calendly公式料金ページ、公式プラン説明。確認日:2026年10月9日。
この記事は米ドル表示を教材にしています。公式には通貨の地域差があり、サイト価格に税は含まれません。上の年額は表示単価の計算例で、実際の税込請求額や日本円の支払額ではありません。月払い価格、為替、個別の税額、返金・解約条件、導入にかかる日数は、この練習では回答しない項目とします。申込時は最新条件を確認してください。根拠:通貨の公式説明、税の公式説明。
ここから先は練習用の架空顧客
相手は一人で相談業を営む成人です。自分が主催する30分の個別相談が月3件あり、予定は一つのカレンダーで管理しています。手作業の日程調整で特に困っていません。60分の相談も将来作るかもしれませんが、まだ未定です。最初に「月10ドルでも高いですね。今のやり方でも間に合っています」と話します。
月3件、30分、将来の予定は、Calendlyの仕様ではありません。提案担当者は、この内情を最初から知っているつもりで返さず、相手の返事から必要な範囲を確かめます。「そのうち必要になります」と将来の購入を決め付ける設定にもしていません。
「高い」「今は要らない」には、何を聞き返す?

「高い」は、予算を超えている、比較相手より高い、必要性を感じない、という別々の意味で使われます。ただし、相手が話を終えたいなら、理由を全部聞き出す必要はありません。会話を続けてよいことを確かめてから、いま判断を変える一問を選びます。
出だし:「高いですね」「今は要りません」
「ここで終えたい」など明確な終了希望なら、そのまま終える。意向が曖昧なときだけ、比較を続けたいのかを確認する。
- 何と比べて高いかが不明
「今の運用と比べた費用でしょうか。それとも、別のサービスとの比較でしょうか」
→ 比較対象がわかってから、期間・通貨・主催者側の席数をそろえる。予算の話なら上限と支払時期を確認する。 - 必要な予約の種類や人数が不明
「予約を受ける担当者は、お一人ですか」
→ 主催者と招待客を分け、その後に予約メニューの種類、管理するカレンダーを一つずつ聞く。 - 今の運用で困っていない
「今は変更しないご意向でしょうか」
→ 見送りなら終了。本人が違いを知りたいときだけ、その範囲を説明する。
比較相手がわからないまま「お得です」と返さない
たとえば相手が「別サービスは月額8ドルでした」と言っても、すぐ優劣は決まりません。年払いの月額換算と月払い、1席と複数席、必要な機能が違えば比較の前提がずれます。
編集例:「その8ドルは、月払いの金額でしょうか」。支払期間の返事を聞いてから、主催者側の席数を尋ねます。いま確認できているCalendlyの表示は年払いの月額換算なので、期間と席数をそろえるためです。比較相手の条件は、この教材では未確認です。「こちらの方が安い」「必ず元が取れる」とは続けません。
もし「比較ではなく、今年の予算がもうない」という返事なら、機能説明を重ねる理由は薄くなります。「今年は追加費用を出さない方針という理解でよいでしょうか」と確認し、合っていればその前提で見送ります。値引きできるという情報は持っていません。
人数の確認では、「使う人」と「招待される人」を分ける
編集例:顧客「3人で使いたいです」。担当者「予約を受ける担当者が3人という意味ですか。それとも、一人の担当者にお客様が3人予約する形でしょうか」。後者なら、招待客が3人だから3席必要、と計算しないようにします。
次に「30分と60分、二つのメニューを同時に受け付けたい」とわかれば、予約メニューの種類を検討する理由ができます。一方、「相談が月3件」という回数だけでは、有料化が必要とは言えません。何を増やすのかを確かめることが先です。
これらは判断の違いを示すための追加例です。次の保存済み対話で実際に出た顧客発言とは区別しています。
初回の会話を、そのまま条件と照らす
公開条件と架空顧客設定を入力し、4〜6往復の会話を1本だけ生成させました。複数候補から都合のよい失敗例を選ぶことはせず、最初の応答を保存しました。以下は、その会話本文の原文です。
顧客:月10ドルでも高いですね。今のやり方でも間に合っています。
提案担当者:その10ドルは、Standardを年払いにした場合の1席あたりの月額換算です。今は、どんな相談の日程を、月に何件くらい調整されていますか。
顧客:一人で相談業をしていて、30分の個別相談が月3件ほどです。手作業ですが、特に困ってはいません。
提案担当者:そうなのですね。相談のメニューはその1種類でしょうか。予定を管理しているカレンダーの数も教えていただけますか。
顧客:今は30分の相談だけで、カレンダーも1つです。将来は60分の相談も作るかもしれませんが、まだ決めていません。
提案担当者:今のお話なら、イベントタイプ1種類、接続カレンダー1つというFreeの範囲に収まります。1対1の予約回数にも上限はありません。30分と60分を別々の予約メニューとして用意することになれば、イベントタイプが無制限のStandardを検討する理由にはなりますが、未定の段階で有料にする必要はなさそうです。
顧客:わかりました。ただ、今は無料版も含めて導入を見送ります。今のやり方を続けたいです。
提案担当者:承知しました。今回は見送りですね。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
初回にできていたこと
初回は、年払いの月額換算であることを説明し、将来の未定のメニューを理由に今すぐ有料化を勧めていません。無料版も含めた導入拒否に対しても、会話を終えています。使用した公開条件と矛盾する商品説明は、この対話では見つかりませんでした。
「Freeの範囲に収まります」は、この教材で確認した予約の種類とカレンダー数に限った判断です。実際の顧客であれば、社内ルール、連携先、運用上の要件などを確認していない段階で「導入して問題ありません」まで広げないようにします。
言い直すのは、質問の順番と量
初回の冒頭は、料金表示の補足から始まり、その後に「相談の種類」と「月の件数」を一度に聞いています。次も「メニューの種類」と「カレンダー数」の二問です。顧客役はすべて答えましたが、実際には片方だけ返ってくることも考えられます。
また、相手が説明をもう少し聞きたいかは、まだ確認していませんでした。今回は、商品説明を作り直す代わりに、会話を続ける希望を確かめる一文を先に置き、質問を一つずつにする修正指示を出しました。初回を誤答や失敗と扱うための修正ではありません。
初回の冒頭
「その10ドルは、Standardを年払いにした場合の1席あたりの月額換算です。今は、どんな相談の日程を、月に何件くらい調整されていますか。」
再対話に指定した冒頭
「今のやり方で足りているのですね。今日は違いだけ確認されたいですか。それとも、ここで終わりにしますか。」
修正の理由
料金の正確な説明は残す。説明する前に、相手が続けたいかを確認する。終了希望なら、その後の質問や提案を止める。
同じ場面で、修正した一文から再対話する
商品条件と顧客の基本設定は変えずに、修正指示を加えて一度再生成しました。以下も両役をAI生成した教材です。再対話では、相手が説明を希望したことを確認してから質問を進めています。
顧客:月10ドルでも高いですね。今のやり方でも間に合っています。
提案担当者:今のやり方で足りているのですね。今日は違いだけ確認されたいですか。それとも、ここで終わりにしますか。
顧客:違いだけ聞いておきたいです。
提案担当者:わかりました。現在、相談にはどのようなメニューがありますか。
顧客:今は30分の個別相談だけです。
提案担当者:予定を管理しているカレンダーはいくつありますか。
顧客:1つです。
提案担当者:今後、相談メニューを増やす予定はありますか。
顧客:60分の相談も作るかもしれませんが、まだ決めていません。
提案担当者:今の相談メニューとカレンダー数は、Freeのイベントタイプ1種類、接続カレンダー1つという範囲に収まります。1対1の予約回数は無制限です。Standardではイベントタイプが無制限になり、カレンダーを最大6つ接続できます。60分の相談が未定で、今の調整にも困っていないなら、現時点で有料プランを選ぶ必要はなさそうです。
顧客:念のため、そのStandardは年間だといくらですか。
提案担当者:公式料金ページの年払い表示では、1席あたりUS$10/月相当です。1席で12か月なら、単純計算でUS$120/年になります。ただし、税などを含む確定請求額ではありません。税や為替、月払いの場合の価格は、今回確認していません。
顧客:わかりました。今回は導入を見送って、ここで終わりにします。
提案担当者:承知しました。今日はここで終わりにします。ありがとうございました。
再対話の確認点は三つです。冒頭で続けるかを選べること、返事を受けてから次の質問に進むこと、導入を見送る返事で終えること。初回より往復が増えても、それ自体を悪いことや良いことと決めません。相手が必要としている説明の範囲を越えていないかを見ます。
会話中の「今回確認していません」は、AIに渡した固定資料の範囲についての発言です。本文にある「サイト価格は税別」という注記は、別途確認した公式ヘルプに基づきます。個別の税額は確認していません。
なお、AIは顧客の事情を与えられたうえで両役を生成しています。人間同士の会話と同じ難しさではありません。同じ入力でも次の応答は変わるので、この文章を唯一の正解として暗記する必要もありません。
自分が営業役になって、15分だけ試す方法
ここまでの例は会話全体をAI生成しましたが、読者が練習するときは、営業役の返事を自分で考え、AIには顧客役だけを任せます。次の指示に公開条件を貼り、自分の会社の機密や実顧客の情報を入れずに始めてください。
【商材条件】 [公式情報から確認できた機能、対象外条件、料金の通貨・単位・契約期間、URL、確認日] 【未確認で答えないこと】 [値引き、納期、返金など、今回確認していない事項] 【架空顧客】 [役割、今の運用、困っていること、決まっていないこと] 【最初の発言】 [例:高いですね。今のやり方でも間に合っています]
顧客の発言を一度に一つだけ返し、私の返事を待ってください。私のセリフや模範解答を先に書かないでください。購入に誘導せず、不要なら見送ってください。 私が「振り返り」と書いたら顧客役を止め、私の返答の原文、照合する条件、未確認の断定、次に直す一文を示してください。条件に合う返答は、合っていると書いてください。点数は不要です。 私が「再練習」と書いたら、同じ設定と最初の発言で顧客役に戻り、私の返事を待ってください。振り返り中は会話を勝手に進めないでください。 まずは指定した最初の顧客発言だけを返してください。
- 最初の3分:公開条件と、練習したい一つの場面を決める。答えない項目も書く。
- 次の4分:顧客役の一言に自分で返す。書き直す前の言葉を残して、数往復進める。
- 次の4分:条件に戻る。「事実が違う」「まだ確認していない」「聞き方を変えたい」を分け、一文だけ直す。
- 最後の4分:同じ最初の発言からやり直し、次の顧客の返事に応じて続けるか終えるかを選ぶ。
15分は時間配分の一例で、習得に必要な時間や学習効果の保証ではありません。声を出せる場所なら、送信前に返答を読み上げてもよいでしょう。文字で練習しただけでは、声の大きさ、間の取り方、表情まで確認できたことにはなりません。
AIが「素晴らしい対応でした」と返しても、それだけでは採用しません。「私のどの文が、どの条件に合っていますか」と聞き、元の資料と自分の意図に戻ります。反対に、AIが減点した文が正確なら、無理に変えずに残してください。
練習シートには、点数より一文と根拠を残す
一回分の記録は、次の六つで足ります。資料の更新があれば、同じシートを使う前に条件も更新します。
- 顧客役の最初の発言
- 自分の最初の返答の原文
- 照合した公開条件と、未確認のこと
- 変える一文と、その理由
- 再対話で返ってきた言葉と、それを受けた自分の返事
- 今回の結論:続ける/持ち帰る/見送る。次に一つだけ練習する点
記入例なら、「『今の運用で足りる』を受け止める前に、二つ質問した」→「説明を続けたいか先に確かめる」と残します。「営業力が上がった」とまとめるより、次の一回で試すことが明確になります。
営業ロープレ練習シート(記入例と空欄)をPDFで開く(A4・2ページ)
AIの顧客役を使うときに、確かめておきたいこと
公開条件を使い、実顧客の情報は持ち込まない
顧客名を伏せるだけでも、商談の経緯、金額、担当者の特徴の組み合わせから相手がわかる場合があります。練習では氏名・会社・案件・事情を架空にし、録音、顧客リスト、非公開の見積もりや契約書をそのまま入れないでください。業務で使う場合は、所属先が認めたサービスと入力ルールを先に確認します。
Microsoftの事例は、今回の練習の成績ではない
Microsoftは、営業など顧客接点を持つ社員向けに、対話練習を行う社内AIコーチ「Agent J.ai」を開発・導入した事例を公開しています。これは同社による自社利用の報告です。本稿の練習をすると同じ成果が出る、という根拠には使いません。出典:Microsoft Inside Trackの導入事例。
また、Microsoftの営業会話トレーニングのシナリオには、顧客の役割や商品、会話の調子を設定し、対話へのフィードバックを返す考え方が示されています。Copilot Studioを使うシナリオの紹介であり、どのAIでも同じ機能が最初から使えるという説明ではありません。Learning Agentの公式説明でも、使えるロールプレイの提供元は組織側の設定に依存するとされています。
この記事では、これらの製品画面、音声認識、採点機能、契約環境を試していません。自分が利用を認められた対話AIで、顧客役を一言ずつ返せるか、過去の返答を見返せるかを確かめてください。
次の商談に持っていくのは、聞き返す一文
「高いですね」と言われたら、何と比べているか。「3人で使う」と言われたら、予約を受ける人なのか招待される人なのか。「今は要らない」なら、比較を続けたいのか、ここで終えるのか。聞く内容が変われば、その後の説明と結論も変わります。
まず一つの場面で自分の返答を残し、根拠に戻って一文だけ直してみましょう。まだ答えられないことは確認して持ち帰り、不要という判断は尊重する。そこまで含めて、AIを相手に練習できます。
執筆:Kredo編集部。公開情報の確認日:2026年10月9日。会話・質問例は教材として作成しており、特定サービスの導入推奨や成果保証ではありません。
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