近年、目まぐるしい経済成長が注目を浴びているベトナム。
いま日本で働いている方のなかには、よりよい条件を求め、海外のなかでもベトナムへの就職・転職を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ベトナムで働くことを検討する上で気になる国の特徴、ベトナム勤務がおすすめの理由から、具体的なおすすめ就職・転職サイトまで紹介します。
記事のもくじ
海外就職前に知っておこう!ベトナムってどんな国?
ベトナムの就職・転職に関する具体的な項目を見ていく前に、まずはそもそもベトナムがどんな特徴を持つ国なのかをチェックしてみましょう。
ベトナムは、南シナ海に面したインドシナ半島の東縁部に位置する、東南アジアの国です。
面積は約33万平方キロメートルと日本のおよそ0.9倍の大きさで、9,500万人ほどの人々が生活しています。
国のなかで北部・中部・南部の3つにエリアに分かれており、北部には首都ハノイ、中部にはリゾート地として人気のダナン、南部には観光地としても人気のホーチミンがあります。
ベトナムは50種以上の民族から成り立つ多民族国家ですが、約86%がキン族(越人)。
そのキン族がベトナム語を使用することから、国の公用語はベトナム語とされています。
ベトナムと日本では、国の宗教構成が似ています。
仏教のイメージが強い東南アジアですが、なんとベトナムでは80%以上の方が無宗教と言われているのです。
無宗教以外の比率で最も多いのが仏教、次にカトリックと比較的日本に近いところから、宗教に関しては強く意識せずに生活できるでしょう。
海外就職先にベトナムがおすすめな2つの理由
海外就職先としてはアメリカ・カナダなど様々な選択肢がありますが、どうしてベトナムがおすすめなのでしょうか。
それには、主に下記2つの理由があげられます。
- 生活コストを下げられる
- 日本企業の進出が多い
それぞれ詳しく説明していきます。
生活コストを下げられる
ベトナムは、日本と比較して、全体的に物価が安い国として知られています。
エイビーロードで公表されている2020年2月に実施された現地ガイドライターによる調査によると、日本ではタクシーの初乗りが420円だったのに対しベトナムはわずか47円。
さらに、ビールが日本では1本205円なのに対し、ベトナムでは56円と、1/10程度の価格にまで安くなるものもあることが分かります。
ただ、物価がやすいベトナムとはいえ、日本と同様にハノイ・ホーチミンなどの栄えている場所では相対的に高くなります。
また、観光向け・外国人向けなどの飲食店も値段が高くなる傾向にあるので、価格を抑えたいのであれば、ローカル店を利用するようにしましょう。
日本企業の進出が多い
日本企業の進出が多いことも、ベトナムで就職・転職をするときのおすすめのポイントです。
株式会社国際協力銀行が実施している、海外事業に実績のある日本の製造業企業の現状などを把握するための海外直接投資アンケート(2019年度)によると、今後3年程度の有望な事業展開先を表す有望国ランキングで、ベトナムが第3位を獲得しています。
参考: 2019年度 海外直接投資アンケート結果 (第31回)-国際協力銀行-
得票率としても前年より大幅にアップしており、インド・中国などを含む上位10ヵ国のなかでも、最も伸び率が高い国に選ばれました。
この結果からも、今後より一層、ベトナムで日本企業が増加することが期待できるでしょう。
ベトナムの失業率は日本と比較して高い?低い?
海外の就職先を探すときには、その国の失業率も参考になります。
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が2019年4月に発表したデータによると、2003年には都市部の失業率が5.8%と高かったものの、年々減少し、2018年には3.0%にまで下がっています。
日本の総務省統計局が2020年9月1日に公表した、2018年度の日本の完全失業率が2.4%のことを考慮すると、大幅に違いはないことが分かるのではないでしょうか。
参考:労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)8月分結果-総務省統計局-
ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、どの国の経済・雇用にも大幅な打撃が出ています。
2003年から15年にわたり失業率が低下していたベトナムも、残念ながら将来の見通しを立てるのは難しい可能性が高いです。
ベトナムへの就職・転職を検討している方は、労働状況の最新情報について、できるだけ注意深くチェックしておくのがおすすめです。
海外就職ならではの魅力あり!ベトナムの働き方の特徴・労働規則
せっかく海外就職するのであれば、できるだけ日本と似た条件の国か、よりよい国を選びたいという方が多いですよね。
ベトナムの働き方はどのような特徴があり、日本とどのような点が異なるのでしょうか。
ベトナムでの働き方は、「ベトナム労働法」によって定められています。
1日あたりの労働時間は8時間と日本と同様で、連続8時間勤務の場合、途中で最低30分の休憩を取らせることが義務付けられています。
日本では8時間以下の勤務は45分、8時間を超える場合には最低でも1時間の休憩を与えることが義務付けられていることから、休憩時間に関してはベトナムの方が若干短いと言えるでしょう。
ただし、異なるのはこの休憩時間の扱い方。
なんとベトナムでは、休憩時間が労働時間に含まれるのです。
さらにベトナムでは、時間外労働について非常に厳しい制限が設けられており、国防・安全保障上など特別な理由がない限りは、労働者本人の同意が必ず必要になります。
また、1日あたりの時間外労働は、労働時間の50%を超えることはできず、1ヵ月あたりでは30時間を超えることは許されていないのです。
ベトナムの給料事情
労働環境の次は、給料についても比較をしてみましょう。
ベトナムの旅行サービスを提供しているVietnam Onlineによると、ベトナムの給料は職業、および都市部と農村部ではまったく異なりますが、平均して1人あたりの賃金は2018年時点で1ヵ月あたり約320万VND(150ドル)と言われています。
参考:AVERAGE SALARY-Vietnam Online-
2020年9月19日時点のレートでは1ドンが0.0045円のことから、日本円に換算すると、およそ1.5万円ほどです。
ただし、三菱UFJ銀行国際業務部が2018年12月10日に発表したアジアの最低賃金動向(2018年12月)によると、ベトナムの月額法的最低賃金が2018年から2019年にかけて5%ほど上昇していることから、経済成長率に伴い、条件も良くなっていることも期待されます。
参考:アジアの最低賃金動向(2018 年 12 月)-三菱UFJ銀行-
ベトナムへの就職・転職のときに必要になる2つのビザ
海外で働く場合には、必ずビザの申請が必要です。
ベトナムで勤務する場合、原則として「就労ビザ」「労働許可証(ワークパーミット)」の2つの書類が必要になります。
参考:ベトナムのビザと労働許可証の取得-ベトナム進出.com-
就労ビザ
ベトナムに15日以上滞在するときに必要になるのが、この就労ビザです。
就労ビザのなかには大きく2種類があり、ベトナム企業に訪問するのか、ベトナムから見て外資企業に訪問するかによって異なります。
ベトナム企業を外国人が訪問する場合は「DN」、ベトナムから見て外資企業に勤める場合には「LD」というビザが必要です。
就労ビザの期間は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の4種類があり、それぞれに「シングルビザ」「マルチプルビザ」という2種類の選択肢があります。
シングルビザとマルチプルビザの違いは、ベトナム出国後に効力があるかないか。
シングルビザはベトナムに入国後、出国をした時点でビザの効力はなくなりますが、マルチプルビザではビザの有効期間であれば何度でも入出国が可能です。
労働許可証(ワークパーミット)
外国人がベトナムで転職・就職・駐在をし、3か月以上仕事をする場合に取得が義務付けられているのが、この労働許可証です。
あくまで3ヶ月以上現地で仕事をするときに必要になるもののため、3ヶ月以内であれば取得する必要はありません。
労働許可証の取得には、18歳以上であること、健康であること、ベトナム国内外において犯罪歴がないこと以外にも、様々な条件が必要になります。
学位や仕事上のスキルなども条件に含まれているので、ベトナムでの就職・転職を考えている際には、まずご自身がビザを取得できる条件を満たせているのかを確認しましょう。
なお、ビザに関しては、ベトナム社会主義共和国大使館もしくは総領事館で申請が可能です。
ただし、2015年から申請手続きや条件などが頻繁に変更されていること、申請書類に不備があった場合には非常に長い時間がかかってしまうことから、個人での申請は徐々に困難になってきています。
素早く、確実にビザの申請を行いたい場合には、ビザ代行サービスを活用するのもおすすめです。
ベトナムの就活・転職におすすめのサイト3選
ベトナムの労働環境や必要になるビザなど、基本情報をひと通りチェックしたところで、最後におすすめの就職・転職サイトを3つ紹介します。
- カモメアジア転職
- RGF
- アプローダーズキャリア
カモメアジア転職
公式サイト:カモメアジア転職
ベトナムを含む、東南アジアの転職におすすめなのが、この「カモメアジア転職」です。
「営業・販売」「技術系専門職」など、日本の一般的な就職・転職サイトのように、職種に絞って検索をかけられるのがこのサイトの便利なところ。
また、2020年9月19日時点で302件と、今回紹介するサイトのなかで、最も多い数の求人を取り扱っているのも魅力的なポイントです。
言語不問・未経験可など、条件が厳しくない求人も掲載されているので、ベトナムでの転職を機に職種を変えたいと考えている方にもおすすめと言えるでしょう。
なお、給与に関してはドンを基準に記載されていることがほとんどなので、必ず日本円に変換してから比較するようにしてください。
RGF
公式サイト:RGF
RGFはリクルートグループが展開している、海外求人・アジア求人のサイトです。
各求人には更新日が記載されているので、「どこまで求人をチェックしたか」という新着情報の管理も簡単に行えます。
エージェントサービスも提供しているので、初めての海外就職・転職で心細い方は、エージェントサービスを利用するのもよいのではないでしょうか。
アブローダーズキャリア
公式サイト:アブローダーズキャリア
アブローダーズキャリアも、カモメアジア転職と同様の、東南アジアを中心とした就職・転職サイトです。
新卒採用OKの条件でも絞り込み検索ができるので、新卒でベトナム就職したい方にもおすすめ。
各求人の詳細で日系企業かどうかの確認がすぐにできるようになっているので、日系企業に限定して求人を探したい方も、比較的手早く求人を見つけられるでしょう。
まとめ:ベトナムへの海外就職・転職を検討してみよう
今回は海外のなかでもベトナムで就職・転職をする場合に必要となる情報をまとめました。
ベトナムを含め、海外就職・転職をする際には、様々な手続きを、漏れなく行う必要があります。
また、労働条件などは、予告なく変更される可能性もあります。
求人や現地での生活スタイルも気になるところですが、まずは最新の情報集めからスタートしましょう。
ベトナムでの海外就職・転職は生活費の観点からもわりとハードルが低いので、第一歩を踏み出しやすいです。
ぜひチャレンジしてみてください。