このような疑問、要望に応えるべく、Pythonを利用するメリット・デメリットから将来性まで解説する記事です。具体的には次の順番でお話ししていきます。
- Pythonの4つのメリット
- Pythonの3つのデメリット
- Pythonの得意分野
- Pythonの将来性
これからPythonを学びたいと考えている方、学ぶべきか悩んでいる方向けの記事ですので、ぜひご覧ください。
記事のもくじ
Pythonのメリット4つ
はじめに、Pythonのメリットについて見ていきましょう。ここでは、大きく4つのメリットについて、一つずつ解説していきます。
可読性の高いコードが書ける
Pythonのコードは、可読性が高く簡潔に書くことが可能です。たとえば、プログラミングの入門としてよく用いられる「Hello World」と表示するプログラムを、C言語で記載した時と比べてみましょう。
#include main() { printf("Hello World\n"); }
print("Hello World")
非常に簡潔であることがわかりますよね。
Pythonは読みやすさ・書きやすさを重視して開発されたプログラミング言語であり、誰が書いても同じようなコードになる特徴を持ちます。
そのため、少ないコード量で可読性の高いコードが書けるようになるわけです。
利用できるライブラリが多い
Pythonでは非常に多くのライブラリやフレームワークが用意されており、簡単に利用することができます。
ライブラリやフレームワークは、プログラムの汎用的な機能などをまとめたものです。
ライブラリやフレームワークを利用することで、一からプログラミングする必要がなくなります。
目的に応じてこれらを利用することで、開発の効率化・簡略化が可能です。
さまざまな分野の開発でPythonは利用されており、開発する分野ごとに便利なライブラリやフレームワークが用意されています。
- 機械学習:TensorFlow、Kerasなど
- Webサービス:Scrapy、BeautifulSoup4など
- データ分析:NumPy、Pandasなど
OSを問わず開発環境を用意しやすい
PythonはWindows / Mac / Linuxで利用できます。MacやLinuxにおいては、標準インストールされている場合も多いものです。
OSを問わず無料で利用することができ、開発環境も用意しやすい点はメリットといえるでしょう。
プログラミング初心者は、開発環境を準備するだけでも非常に大変です。
しかし、PythonにはAnacondaやminicondaなどのライブラリまで含めた環境構築を行うためのツールも存在しており、簡単に開発環境が用意できます。
なお、MacやLinuxに標準インストールされているPythonは、バージョン2系であることが多いため、バージョン3系を新規にインストールすることをおすすめします。
多くの実績がある
日本ではPythonよりもJavaなどの方が人気が高いもの。
しかし、海外では多くのWebサービスなどの開発にPythonが利用されています。
Pythonで開発されたWebサービスの例としては、次のようなものが挙げられます。
- Dropbox
- YouTube
など
また、近年Pythonの人気が高まっている理由の一つが「人工知能(AI)」分野における活用です。
Pythonでは多くのAI開発を行うためのライブラリも公開されており、さまざまなAI開発で利用されています。
Python自体は1990年に誕生したものであり、30年にわたって多くの実績がある点は、利用する際のメリットといえるでしょう。
Pythonのデメリット3つ
Pythonには多くのメリットが存在しますが、デメリットも存在します。ここでは、Pythonを利用する際に気をつけたいデメリットについて見ていきましょう。
実行速度は速くない
Pythonはインタプリタ型言語です。C言語などはコンパイラ型言語となりますが、インタプリタ型言語はコンパイラ型言語に比べて実行速度が遅いという特徴を持つものです。
そのため、Pythonの実行速度はC言語などと比べると速くない点はデメリットとなります。
また、Pythonは動的型付け言語であり、型を宣言する必要がない分コード量が減るメリットはあるものの、実行速度が遅くなる要因の一つにもなっています。
実行速度の速さが求められる企業の基幹システムや、高度なゲーム開発などには向いていません。
しかし、Pythonで開発する用途に合わせて、適切なライブラリを使用することで実行速度を高速化することが可能です。
たとえば、数値計算が必要なプログラムを作成する際には、数値計算に特化したNumPyなどのライブラリを使うことで、実行速度の遅さをある程度カバーすることができます。
記述の制約、自由度の低さ
Pythonはコードの読みやすさ・書きやすさを重視しているため、記述の制約があります。
たとえば、コードのブロックを表現するために「インデント」を用いるのですが、このインデントによってしっかりとグループ分けしなければ動作しないのです。
x = 100 y = 200 if x + y > 500: print("over 500!") print("thank you!") else: print("under 500...")
この例の場合、エラーとなってしまいます。その理由は、print(“thank you!”)の行のインデントが揃っていないからです。
File "Main.py", line 8 print("thank you!") ^ IndentationError: unindent does not match any outer indentation level
このように、スペース1つでも間違いがあればエラーとなってしまう点は、記述の制約におけるデメリットといえるでしょう。
Pythonは誰が書いても似たようなコードになる特徴を持ちますが、その裏には記述の制約があり、この点はメリットとデメリットが表裏一体となった形となっています。
日本語の情報が少ない?
Pythonは日本ではあまり馴染みがなく、日本語の情報が少ない点をデメリットとしてあげているメディアも多く存在します。
しかし、これは一昔前の話であり、現在ではWeb上だけでなく、多くのPythonに関する書籍が販売されています。
Pythonに関する情報量は、海外に比べれば日本は少ないかもしれませんが、現在ではPythonを身につけるための情報量は十分にあると考えてよいでしょう。
そのため、この点はあまりデメリットであるとはいえません。
Pythonのデメリットとして挙げられることが多いため、ここではあえて紹介しました。
Pythonの得意分野、できること
Pythonはさまざまな分野の開発が行なえます。
そのなかでも、Pythonは次に挙げる分野が得意分野であり、頻繁に利用されています。
- AI(人工知能)開発
- 自動データ処理、分析
- Webサービス、Webアプリケーション開発
など
詳しくは別の記事で解説していますので、ご興味のある方はそちらをご参照ください。
そのほかにも、
- スマホアプリ制作
- デスクトップアプリ制作
- 組み込みアプリ制作
などの分野でも利用されているケースは存在します。
しかし、これらの分野はPythonよりもSwiftやC#などを用いることが多いでしょう。
あなたの開発したい分野とPythonが得意としている分野を確認し、合致している場合にはPythonの習得を検討してみてはいかがでしょうか。
Pythonの将来性
Pythonは、以前から海外では非常に人気の高い言語でした。
近年では日本でも人気が高まってきており、Pythonの将来性は明るいといえるでしょう。
さまざまな企業などが調査した内容を参照してみると、数字としても現れています。
たとえば、BIZREACHの調査によれば、プログラミング言語別年収中央値ランキングでは、Pythonは575.1万円で第3位となっています。
また、日経XTECHのプログラミング言語実態調査によれば、回答者1,000人中670人がPythonを学びたいと回答しており、20種類以上のプログラミング言語のなかで1位となりました。
近年は第三次AIブームといわれており、非常にAI開発の需要が高まっています。
PythonはAI開発分野での利用が多く、そのことも人気を後押しする理由の一つです。
さらに、Pythonは読みやすさ・書きやすさの点から初心者からでも習得しやすく、学び続けていけばさまざまな開発が行える点からも、Pythonの将来性は明るいといえます。
参照元)
プログラミング言語別年収中央値を発表、求人検索エンジン「スタンバイ」調べ(BIZREACH)
習得したいプログラミング言語、したくない言語(日経XTECH)
まとめ:Pythonはデメリットはあるが、初学者にとってメリットが多い!
Pythonは可読性が高いことやライブラリが多いことなどが主なメリットです。反対に、実行速度が速くないことや、記述の制約などのデメリットを持ちます。
しかし、プログラミング初学者にとっては、デメリット部分はそこまで重大な問題とはならないでしょう。
むしろ、メリット部分は初学者にとって非常に大きなものとなります。
また、Pythonは幅広い分野の開発に利用されており、得意分野では他の追随を許さないほどの人気の高さを誇ります。
近年では日本でもPythonの人気は高まりつつあり、将来性の点も問題ないといえるでしょう。
初心者から上級者まで、幅広い層から支持されるPythonを学んでみてはいかがでしょうか。