「Pythonの開発環境をMacで構築したい」
「MacでPythonをインストールする方法は?」
このような疑問・要望に応えるべく、MacでPythonをインストールする方法を解説する記事です。
MacパソコンでPythonの開発環境をインストールする方法はいくつかありますが、そのなかから3つのインストール手順を紹介します。
具体的には、次の順番でお話ししていきます。
- Homebrew + pyenvを利用したインストール手順
- Minicondaを利用したインストール手順
- Pythonを直接インストールする手順
それぞれの方法のメリットもあわせて紹介しますので、あなたの環境にあわせて選択してみてください。
これからPythonを学習しようとするあなた向けの記事ですので、ぜひ参考にPythonをインストールしてみましょう。
記事のもくじ
Mac版Pythonのインストール方法1:Homebrew + pyenv
MacでPythonのインストールを行う際、おすすめの方法は「Homebrew + pyenv」での環境構築です。
Homebrewやpyenvの概要から、インストール方法まで見ていきましょう。
Homebrewとpyenvとは
はじめに、Homebrewについて紹介します。
HomebrewはmacOS用のパッケージ管理システムです。サードパーティ製ですが非常に使い勝手が良く、macOSを利用する上では必須ともいえるでしょう。
Homebrewを使うと、プログラミングで必要となる各種パッケージを簡単にインストール・管理できるため、開発効率が上昇します。
プログラミングを行う際はターミナルを重点的に利用しますが、パッケージのインストールでいちいちブラウザを開いたりしていては効率がよくありません。
Homebrewはターミナル上でコマンドを使って利用できるため、ブラウザを開いたりせずともパッケージのインストールや管理が行えるのです。
次にpyenvについて、こちらは複数のPythonバージョンを使い分けるためのコマンドラインツールです。
実はMacには最初からPythonがインストールされています。しかし、Python2系であるため、そのまま利用することはおすすめできません。
そこでPython3系をインストールするのですが、pyenvを使うことで簡単にバージョンの切り替えが行えるのです。
Homebrew + pyenvの利点
Homebrewとpyenvを利用するメリットとしては、比較的インストール手順が簡単であり、環境構築後も維持管理が行いやすい点が挙げられます。
Homebrewはパッケージの依存関係まで管理してくれるため、パッケージ管理が容易になります。
pyenvはPythonを扱う上でのバージョン管理も簡単に行えるため、この組み合わせが初心者には最もおすすめできる組み合わせです。
また、プログラミングを行うのであれば、ターミナル上での操作には慣れる必要があり、その練習としても最適でしょう。
インストール手順
ここからは実際のインストール手順を紹介していきます。利用したmacOSはMojave(10.14.6)です。
Homebrewのインストール
Homebrewはターミナルからコマンド一発でインストールできます。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/master/install.sh)"
インストールコマンドは変わる可能性があるため、Homebrew公式サイトにアクセスし、コマンドを確認した上で実行してください。
パスワードを確認されたら、Macのパスワードを入力しましょう。
「Press RETURN to continue or any other key to abort」でEnterキーを入力して進めます。
Xcode Command Line Toolsがインストールされていない場合は、Homebrewのインストールタイミングで同時にインストールされます。
全体で約10分~15分ほどかかるため、ゆっくり待ちましょう。
インストールが完了したら、次のコマンドを入力してインストールされたことを確認します。
$ brew -v Homebrew 2.4.1 Homebrew/homebrew-core (git revision 89f927; last commit 2020-06-23)
バージョンが表示されればインストール完了です。
pyenvのインストール
Homebrewを利用してpyenvをインストールします。
$ brew install pyenv
インストールが完了したら、次のコマンドを入力してインストールされたことを確認しましょう。
$ pyenv -v pyenv 1.2.19
バージョンが表示されればインストール完了です。
pyenvの設定
pyenvを動かすために、次の手順で設定変更を行います。
はじめに、次のコマンドを入力して結果を確認してください。
$ env | grep SHELL
コマンドの実行結果によって、設定を変更するファイルが異なりますので、次の表を参考に変更してください。
コマンドの実行結果 | 設定変更ファイル | 設定変更内容 |
/bin/bash |
~/.bash_profile |
export PYENV_ROOT=”$HOME/.pyenv” export PATH=”$PYENV_ROOT/bin:$PATH” eval “$(pyenv init -)” |
/bin/zsh |
~/.zshrc |
対象のファイルを修正する際は、viコマンドなどで対応しましょう。
設定を変更したらターミナルを開き直すことを忘れずに。
Pythonのインストール
最後にPythonをインストールしていきましょう。
次のコマンドを入力し、pyenvでインストールできるPythonのバージョンを確認します。
$ pyenv install --list
さまざまなバージョンが表示されますが、ここではPython 3.8.3をインストールしてみます。
$ pyenv install 3.8.3
インストールが完了した時点では、まだPython3系は利用できません。
まずは、pyenvでPython3系がインストールされていることを確認します。
$ pyenv versions * system (set by /Users/master/.pyenv/version) 3.8.3
この様に表示されていればOKです。
最後にPython3系を使用するようにコマンドで設定を変更します。
$ pyenv global 3.8.3 $ python -V Python 3.8.3
これでHomebrew + pyenvを利用したPythonのインストールは完了です。
Mac版Pythonのインストール方法2:Miniconda
続いてMinicondaを利用したPythonのインストール方法を解説します。
「Minicondaってなに?」という人でも、Minicondaの概要から解説していますので、ぜひこちらを参考に進めてみてくださいね。
Minicondaとは
MinicondaはAnacondaの最小構成版です。
Anacondaとは、Pythonで科学計算などのデータサイエンスを行うためのパッケージがまとめてインストールできるシステムです。
Pythonだけでなく、R言語や1,000種類以上の関連パケッケージや総合開発環境など、オールインワンの開発環境構築システムと言えます。
MinicondaはそんなAnacondaをより簡潔にしたものであり、最小限のパッケージのみがインストールされます。
Anacondaと同じく「conda」と呼ばれるパッケージ管理システムを採用しており、非常に強力であるためおすすめできるシステムです。
Minicondaの利点
初心者向けのPython教本などでは、「とりあえずAnacondaをインストールしよう」と記載されているものも多く存在します。
たしかにAnacondaは一つインストールするだけで、データサイエンスや機械学習などで必要なパッケージをまとめてインストールすることができて便利です。
しかし、Anacondaはインストールするだけでおよそ3GBほどの容量が必要であり、利用しないパッケージも多く存在することに。
そこで、最小構成のMinicondaがおすすめなのです。
Minicondaではcondaを使って必要なパッケージ類は自ら用意しなければなりませんが、Pythonを学習する上ではその準備も良い経験になるでしょう。
また、condaは仮想開発環境の構築も行えるように作られており、開発種別ごとに必要な開発環境を仮想的に用意できます。
この点もMinicondaを利用するメリットの一つです。
インストール手順
それでは、Minicondaを使ってPythonの開発環境を構築してみましょう。
Minicondaのインストールファイルをダウンロード
Minicondaの公式ページからインストールファイルをダウンロードします。
Minicondaをインストール
ここでは、Minicondaのインストールファイルをデスクトップに保存したものとして進めます。
ターミナルを開き、Minicondaのインストールファイルの保存場所に移動して、ファイルを実行してください。
$ cd Desktop/ $ bash Miniconda3-latest-MacOSX-x86_64.sh
あとはターミナルに表示される内容に従ってインストールを進めます。
最初に使用許諾契約に関する文言が表示されますが、スペースキーを押して進めてください。
次の表示が出たら、「yes」を入力して進めます。
Do you accept the license terms? [yes|no] [no] >>> yes
次の表示が出たら、そのままEnterを入力して進めます。
Miniconda3 will now be installed into this location: /Users/master/miniconda3 - Press ENTER to confirm the location - Press CTRL-C to abort the installation - Or specify a different location below [/Users/master/miniconda3] >>>
次の表示が出たら、「yes」を入力して進めます。
Do you wish the installer to initialize Miniconda3 by running conda init? [yes|no] [yes] >>> yes
「Thank you for installing Miniconda3!」と表示されたらインストール完了です。
Pythonがインストールされたことを確認
最後にPythonがインストールされたことを確認しましょう。
ターミナルを開き直し、次のコマンドを入力してください。
$ python -V $ python3 -V
Python3系のバージョンが表示されれば、問題なくインストールできています。
Mac版Pythonのインストール方法3:Python3直接インストール
ここまで、Python以外のシステムやソフトウェアを利用してきましたが、Pythonだけを直接インストールすることも可能です。
直接インストールの利点
Pythonを直接インストールする場合、ターミナルを利用せずにインストールできる点はメリットといえるでしょう。
しかし、それ以外のメリットはありません。
Homebrew + pyenvや、MinicondaのようにPythonのインストールだけでなく、今後のパッケージ管理の容易さなどを考えると、Pythonの直接インストールはあまりおすすめできません。
しかし、「とにかくPython3系をインストールして使ってみたい」という方には、簡単にインストールするための手段として有効です。
そのため、次のインストール手順に従ってインストールしてみてはいかがでしょうか。
インストール手順
Pythonを直接インストールする場合、ターミナルを利用せずにインストールできます。
インストールファイルのダウンロード・実行
はじめにPythonの公式サイトにアクセスし、Python3系をダウンロードしてください。
画像ではWindowsパソコンからアクセスしているため、Windows用のインストールファイルとなっていますが、MacパソコンからアクセスすればMac用のインストールファイルがダウンロードできます。
Finderを開き、ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行します。
あとは、画面の指示に従ってインストールを進めてください。
インストールの途中でパスワードを確認されたら、Macを利用しているユーザーのパスワードを入力します。
これでPythonのインストールは完了です。
証明書のインストール
Python3.6以降では、インストール後にSSL証明書をインストールしなければなりません。
インストールが完了後、Finderでアプリケーションのディレクトリが開いているため、そこからPython3系のディレクトリにアクセスしましょう。
ディレクトリ内にある「Install Certificates.command」ファイルをダブルクリックして、証明書をインストールします。
ターミナルが開き、画像のように表示されればインストール完了です。
インストールが完了したら、ターミナルを閉じましょう。
Pythonがインストールされたことを確認
別のターミナルを開き、次のコマンドを入力してPythonのバージョンを確認します。
$ python -V Python 2.7.16 $ python3 -V Python 3.8.3
pythonコマンドでは、デフォルトでインストールされている2系のバージョンが表示されますが、python3コマンドで新規にインストールしたPythonのバージョンが表示されます。
python3コマンドを利用することで、Python3系を使った開発環境が利用可能です。
まとめ:MacにPythonをインストールする際は「Homebrew + pyenv」がおすすめ
MacにPythonをインストールする方法はいくつかありますが、おすすめは「Homebrew + pyenv」を利用する方法です。
HomebrewはPythonのインストール以外でも利用できる便利なパッケージ管理ツールであり、比較的簡単に環境を構築できるためおすすめしています。
Minicondaも非常に便利ですが、まずはHomebrew + pyenvからはじめてみましょう。
なお、Homebrewを使ってMinicondaをインストールすることも可能です。
この記事のなかでは分かりづらくなるため紹介しませんでしたが、Minicondaのcondaを利用したPythonパッケージ管理も非常に便利です。
ぜひPythonをもっと使いこなしたいという方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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