理学療法士とは、怪我や病気によって身体に何らかの障害を抱えてしまった方の身体機能の回復を目指すために、立つ・歩くなどのリハビリを行う専門職です。
そんな理学療法士ですがなかには、「いつかは辞めたい」と感じながら働いている方もいるでしょう。
しかし理学療法士は専門職のため、辞めた後の転職先に悩まれている方も多いはずです。
そこで本記事では、理学療法士を辞めるべき職場の特徴について解説し、その後理学療法士の資格を活かせる職種も紹介するので、次の具体的なアクションがわかります。
ぜひ最後まで読んでください。
記事のもくじ
こんな職場は危険!理学療法士を辞めたいと思う職場の特徴
今勤めている職場が以下の特徴に当てはまっていたら、「辞めたい」と思いやすいでしょう。
ぜひ確認しながら、読んでみてください。
将来性がない
理学療法士を辞めたい人の理由の一つに報酬面での将来性の低さが挙げられます。
リハビリ職の給料は初任給では高いですが、昇給などはあまり考えられません。
厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査では、理学療法士の初任給は235,000円です。
一般的なサラリーマンは、226,000円なので、理学療法士の方が高いです。
しかし、昇給して給料が上がることはほとんどなく、勤続年数が上がるにつれて年間10,000円前後上がっていくといった状況です。
主任やリーダーになれば責任者手当が付きますが、実際のところ先輩職員がその職務を担っているので給料は上がりにくいでしょう。
また理学療法士の給料は現場によってまちまちで、働く職場によっては低い場合もあります。
長期的にみると給料が上がりにくいので、報酬面での将来性は低いと捉えられています。
人間関係が悪い
人間関係が悪くて、理学療法士を辞めたいと考えている方もいます。
理学療法士の現場は病院や介護現場がほとんどで社内のコミュニティが小さく、仲が悪くなったり嫌な噂を流されたりすると仕事がしづらくなります。
なかには悪口を気にして仕事が手に付かないことを悩んでいる方も。
また理学療法士だけでなく、管理職や介護職との間に溝が生まれている現場もあります。
意見や議論を言い合う環境であればいいのですが、陰口や悪口を言って協力的な関係が築けていない場合があり、その結果現場の雰囲気や上層部との関係が悪くて仕事をやめたいと思っている方が多い印象です。
現場が忙しい
勤務する病院や高齢者施設によっては、忙しい現場があります。
理学療法士一人に対して、数十人の高齢者のリハビリを行わなくてはいけないこともあります。
リハビリが終了しても記録の記入や会議など施術以外の業務があり、高齢者のケアに割ける時間がわずかになってしまうことも。
このような状態が続くことで、現場の忙しさに耐えきれずに辞めたいと思う方がいます。
思っていた仕事内容と違った
職場の忙しさや業務内容を通して「思っていたのと何か違う」と感じ、辞めたいと思うこともあるでしょう。
リハビリ以外にも会議の資料作りやリハビリ計画書の作成などのデスクワークが多くなることもあります。
新人の方は「高齢者のリハビリを真剣に行いたい」という意気込みが強すぎるあまり、現場とのギャップを感じる方もいます。
一人ひとりに向き合ったケアができないことに悩んでしまい、その積み重ねで理学療法士を辞めたいと感じてしまう方も少なくありません。
理学療法士を辞めてよかった!職場を辞める判断基準
ここからは、理学療法士を辞めるときの判断基準を紹介します。
今勤めている職場が当てはまっていたら、辞める準備を始めるのがオススメです。
上司に相談したが改善されない
上司に相談しても何も改善されない職場は辞めるべきです。
職員が抱えている問題意識に向き合ってくれていない職場は、今後も対応してくれる可能性が低いからです。
そのような現場は見切りをつけて、転職の準備を始めるのをオススメします。
理学療法士の現場であれば、需要過多の職場が多いのですぐに見つかる可能性はありますが、民間の企業への転職希望であれば、転職時期を逃してしまうと、希望している仕事に就けなくなるので早めに動き出す必要があります。
転職をする際は、転職エージェントを活用するのがオススメです。
職務経歴書の作成や面接の日程調整を行ってくれるため働きながらでもスムーズに転職活動ができるからです。
職場が悪いけど環境は悪くない
職場の人間関係は悪いけど、給料や高齢者との関係がいい状態は辞めるか悩むでしょう。
しかし基本的にはすぐに辞めるべきです。
いくら給料が良くても、職場の人間関係などが悪くて精神的にダウンしてしまっては復帰するのに時間がかかるからです。
とくにモラハラやパワハラのある職場は早急に辞めましょう。
「辞めたらあの人に迷惑がかかる」と思う方もいるかもしれませんが、事前に報告し仕事の引き継ぎをしておけば問題ありません。
体調が悪い場合は一度休養期間を設け、自分の状況を整えてから転職活動を始めましょう。
理学療法士の資格を活かせる転職先
「理学療法士の資格や経験を活かせる仕事はないか」と辞める前は考えますよね。
ここから、理学療法士の資格が活かせる転職先を紹介します。
理学療法士の資格を活かせる転職先は以下のとおりです。
それぞれの特徴を具体的に解説し、理学療法士の資格がどのように活かせるのかを紹介します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、在宅での生活がむずかしく介護の必要な高齢者が居住する施設です。
日中の生活支援から入浴・排泄や食事といった身体介助を行います。
特別養護老人ホームでは、理学療法士が常駐することはありません。
しかし、一部介護保険サービスでリハビリを実施する利用者がいるので、そのような施設に訪問することで収入を得ることも可能です。
介護老人保健施設
介護老人福祉施設は、在宅復帰を前提としてリハビリを実施する高齢者施設です。
リハビリ職が常駐しているので理学療法士の就職先としては一つの候補になります。
大きい施設だと一日何十人とリハビリをすることもありますが、小規模だったり複数階に分かれていたりする施設であれば、リハビリをする人数はグッと減ります。
デイサービス
日中に介護サービスが利用できる施設をデイサービスといいます。
デイサービスには理学療法士が常駐している職場もあります。
最近ではトレーニング目的で利用される方や、運動機能を維持するのに特化したデイサービスもあり、理学療法士の活躍の場は広がっています。
デイサービスは介護老人福祉施設よりも定員は少ないので対応する利用者も少なく、ほぼ自分のペースでリハビリを実施できるというメリットがあります。
病院
理学療法士が就職先や転職先に選ぶ可能性が高いのが病院です。
病院は医師の指示のもとリハビリを実施し、患者の社会復帰を目指すという明確な目的があります。
また多くの診療科があるので、幅広い知識を身につけられるでしょう。
病院で基礎知識を磨き、その後介護老人保健施設やデイサービスに転職する方もいます。
整形外科
整形外科は、骨や筋肉といった運動器官の治療や病態の発見を行う医療機関です。
整形外科での理学療法士の役割は、捻挫や打撲といった怪我により日常生活での支障をきたすような病態からの復帰や動作指導などを行います。
たとえば人工関節を導入した患者の動作評価をしたり、歩行器を使用したリハビリを長期的に実施したりします。
運動療法や物理療法を行うので、常に整形外科の知識を身につける必要があるでしょう。
理学療法士以外の仕事に就くときに考える仕事
理学療法士の経験を活かして別職種に就くことも可能です。
ここからは理学療法士以外の仕事を紹介します。
理学療法士を辞めて他の仕事に就きたいと考えている方は、参考にしてみてください。
介護職
同じ福祉の現場として介護職が挙げられます。
介護職のキャリアは無資格でもスタートできるので、理学療法士の方でも始めやすいです。
高齢者施設での勤務経験があれば、仕事に取りかかりやすいでしょう。
たとえば高齢者をベッドから車椅子に移乗する際や、麻痺のある方との歩行方法の知識は介護現場でも役立ちます。
また介護だけを経験してきた方とは少し違った視点を持てるので、高齢者へのケアに対してもさまざまなアイデアが出せるはずです。
ただ給料面では理学療法士のほうが高い傾向にあるので、その点は認識しておきましょう。
看護職
看護職になるハードルは高いですが、医療現場に携わりたい方は検討してみてください。
看護職になるには3年制の専門学校に通うか、4年制の大学に通うかのどちらかです。
看護実習もあるので、実務に就けるまでは時間がかかります。
給料面では理学療法士よりも高いですが、医療行為を行うので責任も大きくなり精神的な強さも必要です。
また施設や病院によっては夜勤を担当することもあるので、体力面でもタフさが求められます。
スポーツトレーナー
スポーツトレーナーは、スポーツ選手の体力面でのサポートをするのが主な仕事です。
筋肉トレーニングのメニューを作成したり食事管理をしたりと活動は多岐に渡ります。
スポーツトレーナーに特別な資格は必要ありませんが、理学療法士は有利です。
なぜなら怪我や病気のサポートをするプロフェッショナルだからです。
スポーツ選手が怪我から復帰するのをサポートするために、運動療法の知識や人体器官の専門知識が役立ちます。
「スポーツ選手の身体的負担を減らしたい」と考えている方は目指してはいかがでしょうか。
まとめ:理学療法士を辞めたいと思ったら準備をしておきましょう!
理学療法士を辞めたいと思ったら、まずは会社に相談しましょう。
それでも改善の余地が見られない場合は、今回紹介した転職先を検討してみてください。
別職種に横展開することで、活躍の場は増えます。
今回の内容が参考になれば幸いです。