人工知能は、現在の職業のほとんどを人の代わりに行うことができると言われており、その業種はあらゆる分野に渡ります。
もちろんITなどのデジタル系業界も例外ではなく、ある説によれば、プログラムを構築するプログラマーでさえも人工知能に取って代わるという話もあるほどです。
ただ、そうは言っても、仕事というのはいつの時代も形を変えながら存在するものです。
人工知能が主な労働力として活躍する時代になっても、失業が人工知能によってもたらされることはないとも考えられます。
プログラマーも同様で、コンピューターと通信技術がこれだけ発展した時代となっている以上、今最も需要と将来性のある職業であることは確かです。
今回はそんなプログラマーという職業のあり方や、人工知能と将来的にどう共存していくかについて考えていきます。
記事のもくじ
これからはプログラマーの人気が急増
スマホやパソコンが家庭、あるいは個人に普及したことにより、多くの人がコンピューターやハイテク技術に身近になっています。
親近感があり、なおかつビジネス需要も高まっていることから、世代を問わず注目しているのがエンジニアという職業です。
子供が憧れる職業ランキング上位に
プログラマーなどを含めたエンジニアは、イメージのつきにくい職業です。
しかしながら小・中学生を対象にしたアンケートによると、エンジニアは男子を中心にベスト10にも入るほどの人気を誇る職業となっており、特に男子中高生の間では1位を獲得するほどの注目を集めています。
引用:マイナビ「エンジニアが中学生男子の「将来就きたい仕事」1位に 」
義務教育課程においては実学的な側面の強い科目であるプログラミング教育が浸透しつつある成果と見る事もできます。
しかしインターネットネイティブ世代の彼らにとって、エンジニアこそ自分たちの生活やエンターテイメントを支えてくれているという、尊敬もあるのでしょう。
エンジニアは社会全体が必要としている
また、中高生の中でも話題になるほどの職業であるエンジニアの存在は、もちろん実社会でも非常に注目され、必要とされています。
特に日本国内では深刻なエンジニア不足が指摘されています。
総務省のデータによれば、エンジニアを中心とするIT人材の需要は今後も右肩上がりで上昇していく一方、供給が追いつかなくなってしまうとされています。
推計では2020年に約37万人、2030年には79万人近い数のIT人材が不足してしまうと言われており、現在の労働者のIT化を進めるとともに、将来的に労働人口に加わる子供達に向けてのプログラミング教育が盛んになりつつあります。
引用:経産省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(平成28年6月10日)」
IT人材の不足が日本中で懸念される中、企業によっては外国人労働者を積極的に受け入れることで、不足を解消しようとする動きも見られるようになってきています。
ただ、日本ではエンジニアに支払われる賃金が安く、優秀な人材は日本人・外国人を問わず海外へ流出してしまうというケースも多発しているため、慢性的なIT人材の不足は免れないのが現状です。
引用:プレジデントオンライン「日本人エンジニアの給料が上がらない理由」
ただ、これは逆に言うと誰でも社会で必要に必要とされるIT人材になるチャンスが増えているとも考えられ、企業もエンジニアに支払う賃金の見直しを進めています。
今後はエンジニアの待遇も改善されていくことが期待できるため、学ぶ初めには最適のタイミングとも撮ることができるでしょう。
子供も将来なりたいと考え、社会もそれを必要としているエンジニアという職業。
野球選手のように狭き門ではない以上、大人にも子供にも喜ばしいビジョンであると言えますが、人工知能の登場により、プログラマーは将来必要がなくなってしまうという意見も見られるようになってきました。
これからの人工知能の発展でプログラマーは必要なくなる?
人工知能はあらゆる作業を自動化させ、人間の労働時間の削減に大きく役立ってくれるとして大きな注目が集まっています。
その一方で、人工知能が人間の仕事を奪ってしまい、人間が職にあぶれてしまうという懸念も話題にのぼります。
プログラマーもそんな人工知能によって淘汰される職業の一つとして捉えられていますが、そもそも人工知能によって代替可能な仕事や、なぜプログラマーが取って代わられる可能性があるのかを考えていきましょう。
人工知能が得意とする仕事
そもそも人工知能が得意とする仕事というのは、人間とは少し勝手が違います。
人工知能もまたプログラムの延長線上にあるシステムの一つであるため、基本的には従来のプログラム同様、反復作業を高速でこなすことを得意としています。
ただ、人工知能が従来のプログラムと異なるのは、自律的に正しい解を導くことができるという点です。
従来のプログラムの場合、コンピューターは決まった仕事、例えばAとBの足し算をするといった、型にはまった処理のみしかできず、足し算を専門とするプログラムに、割り算の解をリクエストしても、それは無理な相談でした。
しかしながら人工知能の場合、ユーザーが求めている答えに対して自律的に最適解を導き出せるようになっています。
例えば解Cを求めるのに最も適した数式は何かという問題を提示した場合、人工知能は自発的に最適の数式を取り出し、解Cを導くことができます。
これを可能にするのが機械学習で、これは過去のデータを大量にプログラムを読み込ませることによって成立します。
プログラムが自律的に情報をする能力を身につけ、解を求める能力を身につけるというものです。
現在普及が始まっているのは、画像認識や売上分析など、特定の業務に特化したタイプのAIです。
これまで人間の仕事と言われてきた頭脳労働は、今後AIによってほぼ全てが置き換わると言われています。
プログラマーはAIに取って代わられる?
プログラマーは、いわゆるコーディング業務を担当する職種です。
システムが正常に動作するためのプログラムを狂いなく入力していき、問題が発生すればすぐにバグの対処に当たることも珍しくありません。
人工知能もまたプログラミングによって構築されているはずですが、今後はこの業務も人工知能が担うことになる可能性も示唆されています。
実際、コーディングの際に入力するコマンドそのものはテンプレート化されているので、作業そのものは反復作業ということもできるでしょう。
極端に簡素化していけば、プログラマーの仕事とは設計図通りにコードを組み立てていくことなのです。
もちろん、プログラマーの仕事はそれだけではないので、実際にはすぐプログラマーが人工知能によって淘汰されることはないでしょう。
ただ、自動でコーディングをおこなってくれる「STUDIO」のようなサービスが登場しつつあるように、コーディング業務そのものは人工知能を用いるほうがはるかに正確で、素早いものになることは予想できます。
これからのプログラマーのあり方
プログラミングそのものが人工知能によって行われる時代になった時、プログラマーに問われるのはどのような能力なのでしょうか。
SEとプログラマーの違い
まずここで、ITエンジニアの職業としてプログラマーと同様に紹介されることの多い、システムエンジニア(SE)と呼ばれる職業に注目してみましょう。
SEは、プログラム全体の設計を専門にする、現場監督のような存在です。
システム全体の仕様を決定し、プログラム設計を構築したのち、コーディングが完了すれば、その後の実装テストなども担当します。
実際にクライアントとの打ち合わせや、提案や企画もSEが担うことになるので、一つの業務をこなし続けるというよりも、総合的な業務をこなすマネジメント能力が問われる仕事でもあります。
側から見るとSEもプログラマーも似たような仕事ですが、プログラマーはひたすらにコードと向き合うだけで良いという点では、比較的シンプルな職種であるということができるでしょう。
総合的なエンジニアリングができる人材の需要
かといって、SEは何もプログラミングができないから総合的な業務に就いているわけではありません。
コーディングは地道で時間のかかる作業であるため、新しい案件獲得や企画を生み出していく時間を作るために、プログラマーと連携して業務を行なっているだけです。
そのため、これからの時代に必要とされるのは、このようなSEの業務もこなせるプログラマーの存在です。
人工知能は、対人コミュニケーションや新しい企画の創造といった、クリエイティブな業務は人に劣るところもあります。
そのためこれからのプログラマーのあり方を考える際、顧客にとって有益なシステムを提案できたり、クリエイティブな設計・企画を発案し、実行できるエンジニアであることが重要になってきます。
自ら人工知能の開発に携わると言う手も
あるいは、ニーズに応じた人工知能を開発する側の立場になるというケースも考えられます。
コーディング作業そのものは人工知能に任せることができる時代が来るのは濃厚ですので、コーディングに特化した人工知能を開発し、それを販売するという考え方です。
あるいは自分の手足となるオートメーションプログラムを早いうちから導入し、新しいプログラマーのあり方を実際に体感、そこから次の一手を考えるなど、色々な検討を行ってみることが重要になります。
これからの人工知能(AI)とプログラマーの関係のまとめ
人工知能は確かにプログラマーの業務に取って代わるポテンシャルを秘めています。
しかしながら、それによって知識と経験が豊富なプログラマーが、完全に淘汰されてしまう心配はありません。
プログラマーに必要なのは、自分の持つスキルをどう次に活かしていくかを考え、自ずと自分の働き方に工夫を加えていくことにあるのではないでしょうか。