警察官を辞める理由として多いのは、当番・非番をくり返す交替制勤務の負担、警察学校から続く団体生活や厳しい規律、階級社会と昇任試験のプレッシャー、危険な現場や悲惨な事故に向き合う心の負担などです。「辞めるのはもったいない」と言われるのは、警察職の平均給与が一般行政職より高く、公務員として安定しているためですが、それだけで続けるべきかは人によって違います。まずは何がつらいのかを整理し、辞めたあとの見通しを立ててから判断しましょう。
この記事では、警察官を辞める理由、警察学校で辞める人の特徴、辞める人は多いのか、「もったいない」「ならない方がいい」と言われる理由、辞める前にやること、転職先を、2026年9月時点の警察庁・総務省などの公的な情報をもとにまとめます。
- 辞める理由は「交替制勤務」「団体生活・規律」「階級と昇任」「危険・心の負担」「副業ができない」など
- 警察学校は全寮制で、大卒は6か月、それ以外は10か月。スマホや外出にルールがある
- 令和6年度に離職した都道府県の警察職は9,387人。うち自己都合などの「普通退職」が6,269人(総務省)
- 警察職の平均給与月額は494,513円で、一般行政職の413,968円より高い(令和7年、諸手当を含む・ボーナスは含まない)
- 辞める前に、理由・お金・次の仕事を整理。在職中の副業は許可が必要
警察官を辞める理由8つ|辞めたいと感じやすい働き方

警察官の仕事は、治安を守るやりがいがある一方で、一般的な会社員と大きく違う働き方をします。辞めたいと感じる理由として、よく挙がるものを整理すると次のとおりです。
| 辞める理由 | 背景 |
|---|---|
| 1. 交替制勤務がきつい | 交番などでは当番・非番・週休をくり返す勤務がある |
| 2. 団体生活・規律が合わない | 警察学校は全寮制。職場でも規律と上下関係が重視される |
| 3. 昇任試験・階級社会のプレッシャー | 階級は試験や勤務成績で決まり、勉強を続ける必要がある |
| 4. 危険な現場がある | 職務中に殉職・受傷する場合があると警察白書でも示されている |
| 5. 悲惨な現場による心の負担 | 事件・事故の現場や、厳しい対応を求められる場面がある |
| 6. 休日も気が抜けない | 事件・災害などの状況によって、予定どおりに休めないことがある |
| 7. 副業で別の道を試せない | 地方公務員は、許可なく報酬を得る仕事をすることができない |
| 8. 働きに見合う実感が持てない | 給与は一般行政職より高い水準でも、負担とのバランスに悩む |
1. 交替制勤務で生活リズムが崩れやすい
警察庁の採用応援サイトによると、警察官の勤務には、午前8時30分〜午後5時15分の日勤制と、「当番・非番・週休」をくり返す交替制勤務があります。交替制勤務の例は、午前9時に勤務を始め、翌日の午前9時に終わる形です。夜間も働く勤務が続くため、睡眠や家族との時間が合わず、つらく感じる人がいます。
2. 団体生活や規律が合わない
警察官は、採用後すぐに全寮制の警察学校で同期と生活しながら学びます。配属後も、組織として動くことが基本で、規律や上下関係が重視されます。一人の時間を大切にしたい人や、自分のペースで働きたい人は、窮屈さを感じやすいでしょう。
3. 階級社会と昇任試験のプレッシャー
警察官は巡査からスタートし、試験や勤務成績などで巡査部長、警部補、警部と昇任していきます。警察庁によると、初めての昇任試験は大卒者で概ね2年、それ以外で概ね4年から受けられます。学歴や性別、年齢に関係なく挑戦できる仕組みですが、仕事をしながら試験勉強を続けることを負担に感じる人もいます。
なお、警察庁に国家公務員として採用される警察官(国家公務員採用総合職試験などから採用)と、都道府県警察に採用される警察官とでは、採用の入口やキャリアの進み方が異なります。
4〜5. 危険な現場と心の負担
警察白書(令和7年版)でも、警察官は身の危険をかえりみず職務を行い、その結果、殉職・受傷する場合があると書かれています。凶器を持った相手への対応や、悲惨な事故現場、遺族への対応など、心に強い負担がかかる場面もあります。つらい場面が続いて眠れない・食欲がないなどの状態が続くときは、一人で抱えずに相談してください(相談先は記事の後半で紹介します)。
6〜8. 休日・副業・見合わない感覚
事件や災害の状況によっては、予定どおりに休めないこともあります。また、地方公務員である警察官は、任命権者の許可を受けなければ、報酬を得て事業や事務に従事することができません(地方公務員法第38条)。「辞める前に副業で別の仕事を試したい」と思っても、簡単にはできないのも悩みの1つです。
警察学校で辞める人の特徴
「警察学校 辞める人 特徴」で調べる人も多いです。警察学校は、警察官として採用された人が最初に学ぶ場所です。警察庁が公表している主なルールは次のとおりです。
| 項目 | 内容(警察庁の採用応援サイト) |
|---|---|
| 期間 | 大卒は6か月、それ以外は10か月 |
| 生活 | 全寮制で、同期生と一緒に生活 |
| 学ぶこと | 法律などの座学、逮捕術・武道、拳銃訓練、捜査・鑑識、職務質問や交通取締りなど |
| スマホ | 原則として平日の夕方と休日は使える。それ以外の時間は使用が制限される |
| 休日 | 土日祝日は休み。届出をしたうえで外泊や外出ができる(入校初期の約3週間は制限あり) |
| お金 | 学費は不要。警察官として給与が支給される |
※表は警察庁の採用サイトに掲載された例です。スマホや外出のルールは都道府県警察によって違うので、志望先の採用ページで確認してください。
こうした環境から、警察学校で辞める人には次のような傾向が見られます。
- 集団生活に慣れない:同期と同じ部屋・同じ時間割で動く生活が合わない
- 自由な時間が少ないと感じる:スマホや外出のルールに窮屈さを感じる
- 体力・武道の訓練がつらい:警察庁は未経験者でも体力づくりから行うとしていますが、ついていけないと感じて自信をなくすことがある
- 入る前のイメージと違った:法律の勉強や規律の厳しさが想像以上だった
- ほかにやりたい仕事が見つかった:自分の適性を考え直し、早めに別の道を選ぶ
警察学校で辞めることは、責められることではありません。合わないと感じたら、教官や家族に相談しながら、早めに次の道を考えることも大切です。
警察官を辞める人は多い?データで見る退職の状況
総務省の「地方公務員の退職状況等調査」によると、令和6年度に離職した都道府県の警察職は9,387人でした。内訳は次のとおりです。
| 離職の理由 | 人数(割合) |
|---|---|
| 定年退職 | 1,792人(19.1%) |
| 勧奨退職 | 1,073人(11.4%) |
| 普通退職 | 6,269人(66.8%) うち在職期間の通算を伴う退職等 913人、定年前再任用短時間勤務のための退職 199人 |
| その他(早期退職募集制度による退職、懲戒免職、死亡退職など) | 253人 |
「普通退職」は、定年・勧奨などのどれにもあたらない離職のことで、自己都合による退職などが含まれます(ほかの公的機関へ移るなど在職期間の通算を伴う退職や、定年前に短時間勤務へ移るための退職も含む)。これらを除いても5,000人をこえており、定年より前に辞める人は少なくないことがわかります。ただし、この調査は年齢別・勤続年数別の「離職率」を示したものではないため、「何年目で何%が辞める」とまでは言えません。
警察官を辞めるのはもったいない?給料が高い理由

「警察官を辞めるのはもったいない」と言われる理由の1つは、給与水準です。総務省の調査(令和7年4月1日現在・全地方公共団体)では、次のようになっています。
| 職種 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 警察職 | 39.4歳 | 345,913円 | 148,600円 | 494,513円 |
| 一般行政職 | 42.0歳 | 326,911円 | 87,057円 | 413,968円 |
※平均給与月額は、給料と諸手当(扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、時間外勤務手当など)の合計。期末・勤勉手当(ボーナス)は含まれません。
警察官の給料が高いと言われるのは、国の公安職俸給表(一)にあたる給料表が使われていること、そして夜間勤務や危険をともなう仕事に対する手当が加わることが主な理由です。表のとおり、諸手当の差が大きくなっています。給与は都道府県ごとに決められているので、実際の金額は各都道府県警察の採用ページで確認してください。
とはいえ、「給料が高いから続けるべき」とは限りません。手当の多くは、夜間勤務や時間外の働きの分でもあります。心身の健康や家族との時間など、お金以外に大切にしたいものと比べて判断しましょう。
警察官にならない方がいい人・向いている人
「警察官はならない方がいい」「なるもんじゃない」という声もありますが、合う・合わないは人によります。これから警察官を目指す人も、今働いている人も、次の表で自分の傾向を確認してみてください。
| 合わないと感じやすい人 | 向いている人 |
|---|---|
| 夜勤や不規則な勤務が体に合わない | 交替制勤務のリズムに慣れ、非番・週休を活用できる |
| 集団行動や上下関係が苦手 | チームで動くことや規律を守ることが苦にならない |
| 危険な場面や人の不幸に向き合うのがつらい | 人を守る仕事に強いやりがいを感じる |
| 自分のペースで働き方を選びたい | 安定した組織の中で、試験で着実に昇任したい |
なお、警察官になるには、各都道府県警察が行う警察官採用試験に合格する必要があります。試験の区分や年齢要件は都道府県によって違うので、各都道府県警察の採用ページを確認してください。
警察官を辞めたいと思ったら最初にやること
1. 一時的な気持ちか、続いている悩みかを分ける
大きな事件のあとや、疲れがたまっているときは、誰でも「辞めたい」と感じやすくなります。何がつらいのか(勤務形態・人間関係・仕事内容・危険)を書き出し、数週間たっても気持ちが変わらないかを見てみましょう。部署や勤務形態が変われば解決する悩みなら、異動の希望を伝える方法もあります。
2. お金の見通しを立てる
辞めると収入が一度止まり、健康保険や年金の切り替えも必要になります。退職後の生活費や、次の仕事が決まるまでの期間を考えておきましょう。
3. 家族に相談する
公務員として安定している仕事を辞めることに、家族が不安を感じることもあります。辞めたい理由と、辞めたあとの計画を具体的に話しておくと、理解を得やすくなります。
4. 民間で活かせる経験を言葉にする
職務質問や相談対応で身につけた聞く力・説明する力、報告書を作る力、緊急時に落ち着いて判断する力、体力、運転の経験などは、民間でも伝え方しだいで評価されます。職務経歴書では、警察の用語をそのまま使わず、どんな場面で何をしたかを具体的に書きましょう。
警察官を辞めた後の転職先

| 転職先の例 | 活かしやすい経験・注意点 |
|---|---|
| 警備・施設管理 | 安全を守る仕事の経験、規律を守る姿勢 |
| 企業の総務・リスク管理・コンプライアンス | 法令の知識、トラブル対応の経験 |
| 営業・接客・サービス業 | 住民対応で身につけたコミュニケーション力 |
| 運転・物流 | 運転の経験。大型車などは別に免許が必要 |
| 自動車教習所の指導員 | 交通ルールの知識と運転の経験。指導員の資格が必要 |
| 他の公務員(自治体の防災部門など) | 災害や緊急時の対応経験 |
| IT・事務職 | 報告書作成などの経験。未経験の分野は学び直しが必要 |
同じように規律の厳しい公務員の仕事と比べたい人は、自衛隊を辞める人の特徴と辞め方の記事や、入国審査官がやめとけと言われる理由の記事も参考になります。
まったく違う分野に進みたい場合は、辞めたあとに学び直す期間をとるのも選択肢の1つです。たとえば、英語やIT、生成AIのスキルは、未経験から学ぶ社会人も多い分野です。社会人の学び直しの例として、社会人のIT留学についての記事や社会人がAIスキルでキャリアアップする方法の記事も読んでみてください。
辞めたいけど迷うとき・つらいときの相談先
- 職場の中で:信頼できる上司や先輩、健康管理の担当者など
- キャリアの相談:厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング相談コーナー」では、無料でキャリアコンサルティングを受けられます
- 心がつらいとき:強い落ち込みが続く、消えてしまいたいと感じるときは、医療機関や、厚生労働省「まもろうよ こころ」にまとめられた電話・SNSの相談窓口に相談してください(たとえば、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556。受付時間は都道府県によって異なります)
よくある質問
警察官を辞めて良かったと思えるのはどんなとき?
辞めた理由がはっきりしていて、次にやりたいことやお金の見通しを立ててから辞めた場合は、「辞めて良かった」と思いやすくなります。反対に、勢いで辞めると、収入や次の仕事で困ることがあります。理由・お金・次の仕事の3つを整理しておきましょう。
警察学校の途中で辞めることはできますか?
警察学校に通う人も、すでに警察官として採用された職員です。辞めるときは、教官などに相談し、所属の手続きに沿って退職することになります。迷っているときは、一人で決めずに教官や家族に相談してください。
警察官の年収はどのくらいですか?
警察官の給与は都道府県ごとに決められています。全国の平均では、令和7年の警察職の平均給与月額は494,513円(平均年齢39.4歳、ボーナスは含まない)です。これに期末・勤勉手当(ボーナス)が加わります。実際の初任給などは、各都道府県警察の採用ページで確認してください。
警察官は辞める人が多いのですか?
令和6年度に離職した都道府県の警察職は9,387人で、そのうち6,269人が定年や勧奨などによらない「普通退職」でした(総務省。ほかの公的機関への移動などに伴う退職も含む)。ただし、在職者全体に対する離職率や、何年目で辞める人が多いかまでは、この調査からはわかりません。
まとめ:辞める理由を整理して、自分に合う次の一歩を
警察官を辞める理由には、交替制勤務、警察学校から続く団体生活、階級と昇任試験、危険や心の負担、副業ができないことなどがあります。給与水準が高く「もったいない」と言われることもありますが、大切なのは、あなたが何を優先したいかです。
まずは悩みを書き出し、異動などで解決できるかを考えましょう。それでも辞めたい気持ちが変わらないときは、お金と次の仕事の見通しを立て、家族や相談窓口も頼りながら、次の一歩を選んでください。
英語でIT・AIを学べるKredo
英語×IT・AIのスキルを身につけてグローバルに活躍しませんか?
当メディアを運営しているKredoは、英語×ITをオンラインで学ぶ「Kredoオンラインキャンプ」と、フィリピンのセブ島で英語とIT・AIを学ぶ「KredoIT留学」「KredoAI留学」を提供しています。これまでの卒業生は3,000名以上。卒業生の多くが、国内外のIT企業への転職、フリーランスなどへのキャリアチェンジを実現しています。これからの時代に必要な英語×IT・AIのスキルを身につけてグローバルに活躍しませんか?









