突然ですが、あなたは30年前の日本企業の姿を思い出せるでしょうか?
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、多くの日本製品が世界でも存在感を放っていました。
今ではアメリカだけでなく、中国企業も台頭し、世界を牽引しています。一方、日本企業は2018年以降、1社も世界の時価総額のTop10にランクインすることができないという寂しい光景です。
さらに、経済発展に伴い世界の変化するスピードも早くなっており、わずか数年で世界で頭角を現す企業も増えるなど、掴むチャンスも大きくなっています。
例えば、『世界中の人が当たり前のようにPCを使っている』というような20年前は空想だった未来を現実にしたことで、大きなイノベーションを実現してきました。
このようなイノベーションは「壮大な妄想」と「現状の課題を捉え、課題解決を積み重ねる」事なしには実現しません。
この記事では、多くの人が未来として妄想している自動運転車をテーマに、現在のAIの課題を捉えていきます。
記事を通じて、新しい時代を作る側にまわる人が増えてくれると嬉しいです。
記事のもくじ
いつAIの自動運転車は実現する?
テスラのイーロンマスク氏は2020年と予想
イーロンマスクという人を知っているでしょうか?
超人的な事業を連続的に起業・経営してきた”天才”です。
彼の事業スケールや発想は多くの人を魅了し、彼の発言には常に注目が集まります。
あっちゃんのイーロンマスクの説明動画がとても分かりやすいのでぜひ見てみてください。
簡単にご紹介します。
- ジョブズの次の天才と言われている
- アイアンマンの主人公モデル
- 前澤さんが乗るロケット(Space X)を作っている
- テスラ・モーターズで電気自動車を作っている
- 人間を火星に移住させる計画をしている
イーロンマスク氏はSpaceXというロケットを使って、人類の持続のために人間を火星に移住させることを目指しています。
このような天才である、イーロンマスク氏が「2020年に完全な自動運転が実現する」と発言し話題になりました。 (参照:2019年2月のラジオインタビュー)
完全な自動運転とは運転席で居眠りしても、目的地まで辿り着いてくれる(さらには駐車も!)状態を指します。
イーロン・マスク氏のこれまでの偉業に疑いの余地はありませんが、これまでの彼の発言が的中しないことも多くあり懐疑的な反応もあります。
今回の”完全な自動運転車の実現”が2020年に達成可能なのでしょうか。
ソフトバンクの孫正義社長は2035年と予想
また、ソフトバンクの孫正義(そん まさよし)社長は、2019年3月期の決算説明会で「2035年にAIによる自動運転が普及する」と予想しています。
ソフトバンクグループは、UberやAlibabaなど世界のトップ企業や、Nvidiaをはじめとする自動運転技術の中核をなす多くのIT企業に投資しています。
そのことから、未来を見通す力は普通の企業よりも高いかもしれません。
今後、通信技術やIoTインフラの普及、計算資源の増加などが進めば、さらに加速度的に技術の向上が進んでいくでしょう。
AIは自動運転車を実現可能?
自動運転車社会を、明るい未来として期待している人も数多くいますが、そもそも実現可能なのでしょうか?
【企業も縮小と撤退】自動運転車の開発に必要の莫大な資金
実際のところ、自動運転技術は開発に莫大な資金を要します。
車というハードウェアも開発する必要があり、非常に技術的な難易度が高いためです。
今までに、自動運転技術の開発を進めてきた多くの企業が縮小や撤退を行っています。
「自動運転における技術的課題をクリアするか、資金が尽きるかとの時間との勝負」と言えるでしょう。
人間の無意識は95%!? AIで再現することの難しさ
車の運転には無意識の要素が多く含まれており、それをAIで再現するのは簡単なことではありません。
人間の行動は95%以上が無意識であると言われています。無意識のわかりやすい例は呼吸です。
私たちは瞑想やヨガをしている時以外に、呼吸に意識を向けていることはほとんどないはずです。
そして、無意識の中で行動を起こしている人間は、出来事を後付けで言語化する事が認知科学でわかっています。
例えば、「子供が自転車に乗っているのが見えたので、ブレーキに足をかけ減速した。」 という説明は認知科学では次のような解釈で捉えられます。
人間が動く物体を目撃した際、神経系が作用しその物体を障害物として捉え、機敏に回避行動をとる。
数秒後、何が起きたかを認識し、「子供が自転車に乗っているのが見えたので、ブレーキに足をかけ、減速した。」というような言語化を行う
つまり人間は毎日、言語化されない決断を大量に下しています。
人間の無意識の処理速度をディープラーニングで再現するのは非常に難しいのが現状です。
AIのプログラムというのは与えられたデータに応じて、一番近いであろう最適解を出力することですが、人間は時として合理的な判断を下しません。
例えば、普段は最短ルートで出勤していても、ふとした気分でまわり道をしたくなることはないでしょうか。
最適化を求めるプログラムにとって、このような人間の意思決定は“ノイズ“のようなものであり、プログラムは現実世界にある大量のノイズに対応することは簡単ではありません。
飛行機というのは既にほとんど自動運転です。
車と飛行機の大きな違いは”空”と”地上”というノイズの多さや複雑性の違いによるものが大きいことから、自動運転の実用化に差があると言えます。
自動運転技術の開発は、大手でも優位とは限らない
TOYOTAやホンダなどの日本企業も自動運転技術の開発を進めており、ハードウェアの知見を活かしながら、ソフトウェア企業との協業を進めています。
しかし、実際はGoogleのWaymoやTeslaが既存の自動車企業をリードしています。
私たちはスマホやパソコンを充電器でチャージして利用することは当たり前です。
自動運転車はリアルタイムで歩行者を認識したり、空間を認識して駐車を行なったりする大きなパソコンのようなものです。
つまり電気自動車と非常に相性が良いことは何となくイメージできると思います。そして電気自動車の設計は根本的にガソリンの自動車と設計が異なる部分があります。
そのため世界トップの自動車会社であるトヨタの技術的知見が競争優位に働くとは限りません。
さらにトヨタ自動車は日本の製造業、さらには日本経済を大きく支えていることから、既存の製造業者との取引をシャットダウンすることは困難です。
その点、失うものがないTeslaのようなスタートアップは、既存のプレイヤーを上回るスピードで自動運転技術や高いレベルの電気自動車の実現に向かっています。
つまり、自動運転においてスタートアップ企業でも逆転可能ということです。
スタートアップ企業Teslaの現状
Teslaはスタートアップ企業ですが、ホンダに追いつきそうな勢いで成長しています。
2018年のTeslaの自動車の生産台数はホンダの5分の1にも関わらず、時価総額はホンダの背中(5兆円超)が見えている状態です。
10年前の就職ランキングで上位だった銀行業のリストラが拡大し、10年後には就職ランキングから姿を消しているという定説は技術革新の存在があるからこそです。
当然、大企業でも技術革新を起こすことは可能です。しかし、失うものが大きすぎて身動きがとりずらい場合が多いのも事実です。
そして、スタートアップはそれをチャンスと捉え、逆転するチャンスがあります。
『大企業を超える』や『お金持ちになる』といったことを人生の目的にするべきではありませんが、それぐらい社会にインパクトを与えることができるのはテクノロジーなどの技術革新の醍醐味です。
次の動画はテスラ社の自動車が事故を予測して警告音をだしてくれるというものです。
これを見る限りでは既に人間の能力を超えているようにも感じてしまいます。
このように自動運転技術は私たち人間の能力をサポートしてくれるところまでは既に来ています。
技術がより高度に洗練されていくことで、徐々に人間の手を離れていくでしょう。
まとめ:AIが自動運転車を実現するには課題解決が重要
・自動運転車の実現にはまだ課題が残されている
・新しいテクノロジーの可能性は無限大
・課題を的確にとらえ、それを乗り越えることでイノベーションが生まれる
自動運転技術はいくつかの難易度の高い課題を乗り越えてきたものの、完全な実現に残されている課題は簡単なものではありません。
イーロン・マスクは世界で稀有な天才起業家であることは間違いありません。
しかし、私たちは彼の発言に対して何も考えずに”YES”とうなずくのではなく、「なぜ実現可能なのか?」「なぜ実現が難しいのか?」という中身を考えることは非常に重要です。
それと同時に夢のある技術に自らを投資し、何兆円も稼ぐ巨大企業を数年で超える企業を作る土俵にあがる事は非常にワクワクします。
自分の頭で新しいテクノロジーの中身を考えるためには、実際に手を動かして経験することが大切です。
世界をリードする宇宙事業や電気自動車事業を作っているイーロン・マスクは、大学でそれらを研究していたわけなく、「本で学んだ」ことベースになっているようです。 (参照:読書習慣が成功の秘訣。著名な成功者8人が強調する「読書のパワー」)
AI産業で世界的企業を作るにはデータ量の問題など、スタートアップには難しい側面があるのは事実です。
一方、その課題には大きなチャンスが眠っているかもしれません。
ITやAIが私たちの社会の基盤になっていく時代に対して、ワクワクする未来を創造し、作ってみたいという方は是非プログラミング学習をすることをオススメします。