人工知能は、今や私たちが日常的に使用するような技術となっています。
スマートフォンのアプリケーションはもちろんのこと、Webサービスや毎日の業務など、いたるところに人工知能のテクノロジーは導入されるようになっており、大きな成果を上げつつある点が注目されています。
しかし身近にAIが使われていると言っても、必ずしも人工知能を利用する人がその仕組みを理解しているわけではなく、「なんとなく便利なもの」という具合で認識しているというケースもあるでしょう。
今回はそんな人工知能をより深く理解するため、そもそも人工知能はどのような仕組みで成り立っているのか、どうやって人工知能を生み出すのかについてご紹介していきます。
記事のもくじ
AI(人工知能)の仕組み
人工知能の作り方を学ぶ前に、まずは人工知能がどのような仕組みで成り立っているかを見ていきましょう。
人工知能は最先端のテクノロジーですが、元をたどるとプログラミングによるコードの組み合わせによって動作しており、コーディングの方法さえわかれば誰でもオリジナルの人工知能が組み立てられます。
基本的にはプログラミングで動いている
人工知能は、直接的な解釈だと「人間と同等の知性を持つ存在を人工的に作り上げる」という意味になりますが、私たちが日常的に利用する人工知能はそこまで大げさなものではありません。
確かにSF映画であるような、まるで人間と見まごうような知性を持った生命体のようなロボットを人工知能の分野で研究している側面はありますが、今実用段階で使われているものは、もう少しカジュアルです。
現在実用段階で使用されているのは、特化型人工知能と呼ばれるAIです。
特化型人工知能は、特定の分野や問題解決に能力を絞ったタイプのAIで、人間のようにあらゆる問題や事象に対して柔軟な思考ができるわけではありません。
ただ、1つのテーマに対しては、人間以上の思考力を発揮します。
画像認識やボードゲームはもちろん、言語の翻訳など、人間とは異なるアプローチで膨大なデータ処理を行い、人間と同等、あるいはそれ以上のパフォーマンスを見せてくれます。
この膨大なデータ処理を何度も行わせ、人工知能が主体的に答えを導けるよう指針を与えるのがプログラミングというわけです。
仕組みがわかれば初心者でも人工知能(AI)は作れる
このデータ処理のプロセスは、機械学習と呼ばれています。
人間のプログラミングによって人工知能に与えるデータから何の要素を学習し、どうなることを目的とするのかといった指針を与えることで機能します。
そして、単なる機械学習よりもさらに一歩進んだ学習方法が、ディープラーニングと呼ばれるものです。
ディープラーニングは機械学習の発展形ですが、特徴的なのは機械が自ら学習すべき点を見出し、ひとりでに賢くなっていくという点にあります。
データを人工知能に与えると、人間が指示を与えずとも独自にデータから一貫性や相違点を導き出し、知能を進化させていくというものですが、人間は単純な機械学習のようにああしろこうしろと命令を出す必要がなくなるため、非常に知性のある行動が取れるのです。
もちろん、人間が意図していなかった目の付け所に注目して育っていくこともあるため、何か目的がある場合は適宜修正を加えていく必要がありますが、それでもディープラーニングは非常に高度なテクノロジーとして、世界中で注目されています。
初心者レベルで人工知能を作るとなると、このような知能を生み出すことは難しいですが、それでも一般的な機械学習レベルであれば比較的容易に作り方を理解することができますし、学習を進めていけばディープラーニングの詳細な作り方や仕組みも理解できるようになるはずです。
AI(人工知能)の作り方
では実際に、人工知能を作るためにはどうすれば良いかを見ていきましょう。
まず、人工知能の成り立ちはデータ収集・学習・システム実装という3つのプロセスに分かれ、サービスとして機能することができるようになります。
データ収集
1つ目のデータ収集では、その名の通り人工知能に学習させたいデータのサンプルを人間が収集することです。
例えばリンゴとブドウの違いを人工知能に判別させたいときは、大量かつ多様なリンゴとブドウの画像データを用意する必要があります。
数字から売上予測や景気の方向性を探りたい場合は、自社のこれまでの売上データなどを読み込ませる必要がありますが、ここで役に立つのがビッグデータと呼ばれるものです。
ビッグデータも少し前から注目されるようになったキーワードですが、とても人間では処理できないほど膨大なデータは、人工知能の学習にはまさに宝の山と言えます。
ビッグデータに注目が集まっているのは、人工知能の登場とも密接に関わっているのです。
モデルの学習
データがある程度集まったら、次は実際にデータを読み込ませていきます。
例えば先ほどのリンゴとブドウの区別ということになると、リンゴであれば1、ブドウであれば0という二者択一ができるように設定し、それぞれの色や形の特徴から、その違いを判別できるようにプログラムします。
画像データは、コンピューターからすればピクセルの集合体でしかありませんので、微妙な色のデータの違いや配置などを読み取りながら、それぞれの特徴に共通点を見出していきます。
このデータの比較を人工知能の中で無数に繰り返すことにより、リンゴとブドウの区別がつくようになる、という仕組みです。
システムの実装
人工知能がある程度使えるレベルにまで成熟すれば、次は実装です。人工知能を導入するためのユーザーインターフェース(UI)を作り、誰でも利用できるようにシステムを整えます。
先ほどのリンゴとブドウの画像認識AIであれば、例えばユーザーがそのシステムにアップロードした画像がリンゴかブドウか、またはそれ以外の何かかを、確率でアンサーできるようなシステムが考えられます。
実装段階においては人工知能を作るスキルよりも、Webデザインなどのスキルが必要となるため、本気でサービスとして世間にリリースしたい場合は違った能力が必要になります。
初心者でもAI(人工知能)の仕組みや作り方を理解しやすいアプリ
画像認識以外にも、比較的平易なスキルレベルで実装できる人工知能の例はいくつか見られます。
チャットボット
例えばAIチャットボットはその代表例です。
通常のチャットボットであれば、営業時間の案内やセール情報の配信など、テンプレートに則った対応しかできないのですが、AI搭載型のチャットボットであれば、優れているものだとまるで人間のオペレーターと対話しているような感覚で利用することができます。
代表的なのが、ユニクロの「UNIQLO IQ」です。
このアプリではお得なセール情報や営業時間を教えてくれるだけでなく、ユーザーがチャットで質問した内容に応じて様々な回答を具体的に行ってくれる、画期的なアシスタントサービスを提供します。
例えば「夏のおすすめを教えて」と聞けば、どんな服が欲しいのか、色の好みはあるかなどの質問を返してくれて、それに応じた商品情報をユーザーに教えてくれます。
まるでユニクロへ買い物に来たような感覚で、チャットボットを利用することができます。
画像認識・画像加工
画像認識にAIを導入して運用しているケースは、身近なスマホアプリにもいくつか存在します。
例えば「Artomaton」は写真のなかの人物やオブジェクトの形状を自動的に認識し、自動的に絵画風の加工を写真に施してくれる優れたアプリです。
その画像が何であるかを認識した上で、さらにその画像に最適かつアプリのテーマに沿った加工を施せるという、幾つもの機能が搭載されている、参考にしたいアプリとなっています。
AI(人工知能)の仕組みを理解するのに最適なプログラミング言語
次に、人工知能を組み立てていく上でポピュラーなプログラミング言語も紹介しておきます。
Python
Pythonは人工知能の分野で最も活躍している、唯一無二の言語ということができます。
元は統計向けの言語という扱いでしたが、取得難易度の易しさやその汎用性の高さから、人工知能開発にも積極的に採用されています。
求人ニーズもあり、初学者にオススメしたいプログラミング言語です。
Javascript
Javascriptも人工知能の開発ではしばしば用いられる言語です。
その特徴は何と言っても敷居の低さで、プログラマーなら誰もが一度は触れたことのある言語であるとも言われています。
Web開発の分野で見かけることが多く、その特徴を生かしてWebサービスとしてAIを実装する場合にも役立ちます。
AI(人工知能)の仕組みや作り方を学ぶのにおすすめの教材
最後に、人工知能の仕組みや作り方を学ぶ上で、目を通しておきたい教材にも触れておきます。
Pythonで動かして学ぶ! あたらしい機械学習の教科書(翔泳社)
Pythonを使って、実際に手を動かしながら機械学習について学ぶことができるテキストです。
プログラミングには欠かせない数学の知識も合わせて学ぶことができるので、一通りのスキルを身につけるには最適の良書です。
いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門(マイナビ出版)
こちらは、人工知能の仕組みをもう少ししっかりと理解したいという人に向けた初学書です。
ITに疎い人でもわかりやすい表現や、事例も交えて人工知能が紹介されているので、とっつきやすい一冊になっています。
人工知能の作り方 ―「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか(技術評論社)
人工知能の第一人者、三宅陽一郎氏によるゲームのAIの仕組みを紹介する一冊です。
現代だけでなく、80年代からAIの基礎となる技術がゲームに採用されてきた歴史を紐解きながら、「おもしろいAIの活用方法」のエッセンスを見出すことのできる内容となっています。
まとめ:AI(人工知能)の仕組みをしっかり学んでみよう!
人工知能というテクノロジーは、まだまだ日本では一般的にその仕組みや可能性について語られることは少ないものですが、国内外を問わずAIを研究してきた人は多く存在します。
今では日本語で様々な教材が販売されていたり、スマホアプリで気軽に利用できる機会も増えているため、人工知能を学ぶには最適なタイミングと言えます。
インターネットで調べるだけでもAIに関する大まかな情報はたくさん得られますが、プログラミング学習や本をきっかけに、一度しっかりと学んでみるのも良いでしょう。