人工知能は夢のテクノロジーと長い間考えられてきました。
しかしここ数年間で、実は人工知能は私たちの生活に身近な存在となったどころか、パソコンが一台あれば、自分でも作れてしまう時代となっています。
人工知能と一言で言っても、蓋を開けてみるとその用途などに応じて種類は千差万別です。
今回はそんな人工知能を、自分で上手く作ってしまうための知識をご紹介していきます。
記事のもくじ
AI(人工知能)とは
人工知能は、一般的にAI(Artificial Intelligence)とも呼ばれるテクノロジーです。
産業分野では、人間の知的な営みをコンピューターで再現し、頭脳労働を人に代わって行えるよう研究が進められています。
人工知能の定義
人工知能という言葉は非常に様々な分野で見かけるようになりましたが、何を持って人工知能とするか、ということについては明確な定義はありません。
ただ、大抵の場合は従来のコンピューターよりも優れた能力を持ち、人間に取って代わるポテンシャルを備えたプログラムのことをさすことが多いように伺えます。
人間の知的能力を模した、あるいはそれを超える知能を持ったコンピューターの研究は戦後から始まり、機械学習、あるいはディープラーニングと呼ばれる手法が研究に定着して以降、飛躍的にテクノロジーの向上が見られました。
今はまだ過渡期の段階ですが、一般家庭に浸透していけば、いずれは人工知能という言葉の定義づけも進んでいくことになるかもしれません。
これまでのコンピューターやロボットとの違い
次に、人工知能がこれまでのコンピューターやロボットと何が違うのかについて見ていきましょう。
人工知能が決定的に従来のプログラムと異なるのは、自律的に思考することが可能であるという点です。
これまでのコンピューターに搭載されているプログラムでは、事前に与えられていたコマンド通りにしかタスクをこなすことができませんでした。
例えば、ひたすらカタカナを50音順で書き続けるなど、決まった行動しか取ることが出来なかったのです。
一方、人工知能の場合は、もう少し柔軟な命令を実行することが出来ます。例えばカタカナで50個の文章を書けといえば、自分で単語を取捨選択しつつ、しっかりと読むことができる文章を出力することが可能です。
文字や単語を無作為にただアウトプットするのは、従来のコンピューターの仕事で、これは人間でも頭を使わずに手の筋肉だけを使って行うことが出来ます。
しかし文章を書くとなると、単語を単位組み合わせるだけでなく、助詞の挟み方や句読点、そして主語述語の作り方など、単純なプログラムで組み立てるには非常に複雑なプロセスを踏まなければなりません。
これは人間でも頭を使って取り組む必要があるので、時間を要することもあるものですが、人工知能はいとも簡単にこのプロセスをこなしてしまうことができるのです。
圧倒的な処理速度で人間の頭脳労働をこなしてしまう。
このアビリティこそ、人工知能の最大の強みと言えるでしょう。
なぜ簡単にAI(人工知能)を作れることが重要なのか
人工知能と人間が同じアビリティを持つからと言って、必ずしもそれが人間よりも優れているという理由にはなりません。
人工知能が優れているのは、頭脳労働に加えて以下のような強みを備えていることが理由に挙げられます。
深刻な人材不足を補えるソフトウェア
人工知能に注目が集まっているのは、そもそも市場に人手が足りなくなっているという事情が大きいと言えます。
人手不足はあらゆる業界で発生しており、人を雇うコストパフォーマンスを考えると採算が合わなくなってしまうケースも多く見かけます。
そこで単純な事務作業などは人工知能に任せてしまうことで、時間や人を雇うコストを大幅に削減していこうという動きが広まっています。
人工知能は基本的に無形のプログラムであるため、無数に複製することが可能です。
一度有益な人工知能を開発することができれば、インターネットを通じて世界中へ展開することも出来ます。
専門分野に特化した高いパフォーマンス
人工知能には人間のようになんでもできる、汎用型の「強いAI」と、一つの分野に特化した「弱いAI」の二種類があります。
現在主流のAIは、後者の弱いAIです。
こちらは人間のようになんでも器用にこなせてしまうわけではないものの、特定の業務においては無類の強さを発揮してくれるのが特徴です。
効率化したい業務に適したAIを導入することができれば、経費削減どころか導入先に人間では得られなかった、多大な恩恵を提供することもありえるでしょう。
半永久的な活動が可能
そして人工知能は元をたどればただのプログラムですので、電源がある限り活動をやめてしまうこともなければ、人間のように頻繁な休憩を挟む必要もありません。
定期的なメンテナンスはハードウェア本体の方に必要になってきますが、それでも通常は24時間休むことなく働き続けることができることや作業効率を考えると、人よりも優れたパフォーマンスを発揮してくれることは明らかです。
簡単なAI(人工知能)の運用方法
このように卓越した能力を有する人工知能ですが、上手に運用していくためにはその特性を見極めることも重要です。
単純作業に特化
まず、人工知能は基本的に一つの仕事に特化しており、なおかつ単純作業に特化した存在だということを理解しておきましょう。
そのため人工知能の導入を考える際は、いきなり柔軟なプロセスが問われる営業や、プロモーションなどへ導入を検討するのではなく、事務作業や検品、売上分析など、人間がルーティーンでこなせる仕事を任せることを念頭に置いておくべきです。
営業やクリエイティブ分野の人材が足りていないという場合、まずは既存の事務職人材の再編成を検討し、そこで生まれた余剰リソースを、新たに優秀な営業・クリエイティブ分野の人材獲得に投入するという工夫が必要になります。
人間との役割分担が重要に
また、現在の技術では全てのタスクを人工知能に任せてしまうことは、その業務内容にもよりますが、難しいと考えておくべきです。
そのため、全ての仕事を丸投げできるような人工知能の開発や導入を検討するのではなく、今自分の抱えている仕事の何が多くの時間を割いており、単純化してしまっているかを考え、そこに人工知能を導入できないかを検討していきましょう。
単純作業は人工知能に任せ、自分はさらに複雑な頭脳労働などにリソースを割いていくという役割分担が、次世代のAIとの働き方になっていくでしょう。
AI(人工知能)を簡単に作る方法とは?
そんな多大なポテンシャルを秘めている人工知能ですが、最近では自分の家で作ることができるようにもなってきています。
自宅でも人工知能の開発は可能
人工知能は、元をたどればデータベースとプログラムによって構築されています。
プログラミングは現在誰にでもその理解が求められており、同時に自宅で気軽に学ぶこともできますが、人工知能開発もまた同様です。
プログラミングのスキルを磨いていくことで、自分だけの人工知能を開発することは十分に可能となっています。
人工知能開発のプロセス
人工知能の開発は、主に3つの段階に分かれて進めていくことになります。
①データ収集
1つ目にデータ収集です。
データ収集は人工知能の性能を決める重要なプロセスで、目的にあったデータを大量に用意する必要があります。
売上分析を人工知能を用いて行いたい場合、過去数年分のデータを全て用意するなど、これまでの蓄積が重要になります。
②機械学習
2つ目に機械学習です。
これは収集したデータをプログラムに読み込ませる段階で、この過程を通じて人工知能は自律的に物事を把握し、答えを導くためのアビリティを手に入れることになります。
少し前まではこの部分のコーディングを行うのが最難関と言われていたのですが、最近ではこの学習のためのテンプレート提供サービスが非常に充実しており、効率的に学習済みのモデルを入手することも可能になっています。
最も人気のあるサービスの1つが、Azure MLです。
こちらは無料で利用することができるだけでなく、プログラミングの必要がないため、コードを書くスキルを持ち合わせていない人でも、気軽に機械学習を進めることができます。
こういったツールを積極的に導入することで、人工知能の開発は飛躍的にポピュラーなものへとなりつつあるのです。
③AIのサービスへの組み込み
最後にAIのサービスへの組み込みです。
機械学習を終えたAIは、そのままでは思っているように運用することができません。
自分の思いのままに運用していくためには実用的なものとするためのフレームワークを構築していく必要があります。
例えば自動で文章を生成するサービスの場合、ボタンを押すと自動的に文章が生成され、それが何文字以内なのか、どういったキーワードを含めるのかなど、文章生成をリクエストするユーザーが条件を指定するための枠組みを用意してあげなければなりません。
人工知能をより使いやすくするためには、どのように活用するのが良いかを考えるのも、人工知能開発の一環と言えます。
人工知能に最適なプログラミング言語
初めて人工知能を自分で作り出す場合、最も世界中で活用されている言語がPythonです。
Pythonはプログラミング言語の中でも難易度が平易で、初心者でも気軽に運用できるだけでなく、何でも作ることができる汎用性が特徴となっています。
コミュニティも分厚く、教材も豊富なため、疑問点があればすぐに調べて解決できるのも嬉しいところです。
まとめ:AI(人工知能)は簡単に作れるようになってきている
人工知能は身近な技術となっただけでなく、実際に自分で作ることも容易なテクノロジーとなりつつあります。
人工知能の活用方法や、実際に個人で開発し、運用している人の話は、ネットで検索するだけでも様々な事例が伺えます。
一朝一夕で成し遂げるのは難しいかもしれませんが、人工知能開発は私たちが考えているほど難しいものではないことも確かでしょう。