こんな疑問・要望を持つあなたに向けた記事です。
AIプログラミングを学習するにあたり、フレームワークは欠かせません。
この記事では、人気のある4つのAIフレームワークについて、特徴や使用できる言語、メリット・デメリットについて解説しています。
AIのフレームワークについて、概要を知りたい方は、ぜひ一読ください。
記事のもくじ
AI(人工知能)のフレームワークでできること
フレームワークは、枠組み・プログラムの雛形と言えます。
フレームワークを用いることで、システム開発の効率を上げることができ、複数人で開発を行う際には、記述レベルを揃えることが可能です。
AIのプログラミングを行うには、難解な確率計算や行列演算が必要となります。
AIのフレームワークを使うことで、高度な専門知識を有していなくとも、AIのプログラミングができるようにライブラリが用意されています。
これからAIのプログラミングを学習するにあたって、欠かせない存在と言えるでしょう。
AI(人工知能)フレームワーク①【TensorFlow/Keras】
TensorFlowとKerasは、AIのフレームワークの中でも1,2を争う人気のフレームワークです。
TensorFlowとKerasの関係性から、特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
TensorFlowとKerasの関係性
TensorFlowは、Googleが提供するフレームワークです。
Gmailの分別やYouTube広告の最適化など、Googleが提供するサービスで利用されています。
対して、KerasはTensorflowなどのテンソル計算を高速に行うライブラリを持つ、上位ライブラリです。
テンソルとは多次元の配列を意味しており、行列演算を効率的に実行することができます。
Tensorflowは、テンソルを利用してAIの処理を実行しています。
Kerasは、最近ではTensorflowに組み込まれており、Tensorflow上で動作するものと考えて良いでしょう。
そのため、TensorflowはAIのフレームワーク、KerasはTensorflow上で動作するライブラリと言えますね。
厳密には、KerasはTensorflowだけでなく、Theanoというフレームワークでも利用できますが、Theanoは開発が終了していますので、KerasはTensorflow上で動作するライブラリ、と位置づけています。
特徴
Tensorflowの特徴は、AIの一連の処理(データ読み込み、確率演算、行列処理、出力)を多次元の配列を利用することです。
Kerasの特徴は、プログラミングの知識がなくても、アルゴリズムとパラメータを指定するだけでニューラルネットワークを構築することが可能なライブラリを提供している点です。
TensorflowはAIのフレームワークの中で、ダントツの人気を誇るフレームワークであり、Kerasはプログラミングの初心者にもやさしいことで人気があります。
利用できるプログラム言語
Tensorflowを利用できるプログラミング言語は、PythonやC++、Java、Goがあります。
一方KerasはPythonのみです。
TensorflowとKerasを利用する際には、プログラミング言語はPythonを選択すると良いでしょう。
メリット・デメリット
TensorflowとKearsのメリットとデメリットとしては、次のものが挙げられます。
Tensorflow
- 利用者が多く、情報が簡単に手に入る
- GPUの利用が簡単
- 高機能ゆえに難解(慣れが必要)
- 高速処理にはハードウェアの性能も求められる
Keras
- 利用者が多く、情報が簡単に手に入る/li>
- プログラミング初心者でも扱いやすい
- コードから処理内容を理解できない(隠蔽されている)
- 本格的なAIプログラミングの学習には向かない
TensorflowとKerasを組み合わせて利用することで、初心者からでも取り組みやすく、学習を続けやすくなります。
AI(人工知能)フレームワーク②【PyTorch】
PyTorchは、Facebookが提供するAIフレームワークです。
PyTorchの特徴からメリット・デメリットについて紹介します。
特徴
PyTorchは2017年に公開された比較的新しいAIフレームワークです。
AIフレームワークには、「Define and run」と「Define by run」という処理の実行方式があります。
Tensorflow、MXnet、Cafee/Caffee2は「Define and run」ですが、PyTorchでは「Define by run」を採用している点が特徴です。
「Define and run」の処理実行方式は、最適化しやすいものの途中の処理状態を確認することが面倒でデバッグが難しい、という特徴があります。
「Define by run」の処理方式は、途中の処理状態を確認することができ、デバッグが楽で途中の処理結果に応じて分岐などの処理内容を変更することができる、という特徴があるものです。
また、Facebookが開発したAIフレームワーク「Caffe2」は、2018年3月にPyTorchに統合されました。
利用できるプログラミング言語
PyTorchを利用できるプログラミング言語は、Pythonのみです。
もともとは「Torch」と呼ばれる機械学習ライブラリを、Python向けに改良したものがPyTorchとなっています。
メリット・デメリット
PyTorchのメリットとデメリットとしては、次のものが挙げられます。
- Define by runを採用している
- 利用者が急増している
- 直感的にコードを書くことができる
- メモリ不足に陥りやすい
- 最適化が難しい
AI(人工知能)フレームワーク③【MXnet】
MXnetは、Amazonが深層学習で採用しているAIのフレームワークです。
MXnetの特徴から、メリット・デメリットについて紹介します。
特徴
MXnetはさまざまなディープラーニングモデルをサポートしているフレームワークです。
知名度はTensorflowやPyTorchと比べると低いですが、人気のあるフレームワークとなっています。
MXnetは、柔軟性と拡張性を兼ね備えている点が特徴です。
膨大な計算リソースを使う必要があるディープラーニングの処理を、コンピュータリソースを追加するだけで、より精度の高いモデルを短時間で学習できるようにすることが可能となります。
利用できるプログラミング言語
MXnetは、対応するプログラミング言語が豊富です。
- Python
- C++
- Scala
- R
- Matlab
- Julia
など
複数の言語に対応しているほか、Windows・MacOS・Ubuntuなど、さまざまなプラットフォームにも対応しているため、可搬性も高いフレームワークと言えます。
メリット・デメリット
MXnetのメリットとデメリットとしては、次のものが挙げられます。
- 処理が高速
- 対応言語が豊富
- 参考書籍などの情報が少ない
MXnetは拡張性が高く、処理も高速であるため、画像認識や自然言語処理・レコメンド生成など幅広い用途で利用されています。
コードもTensorflowのようにも、Chainerのようにも書けるフレキシブルさを持ったフレームワークです。
AIプログラミングに慣れた方であれば、非常に強力なフレームワークであると言えますが、これからAIプログラミングを学習する初心者にとっては、情報があまり多くないため、難しいと感じてしまうかもしれません。
AI(人工知能)フレームワーク④【Chainer】
Chainerは、国産のAIフレームワークです。
Chainerの特徴から、メリット・デメリットについて紹介します。
特徴
Chainerは、国内の大手ベンチャー企業「Preferred Networks」によって開発されました。
国内産であるため、日本語のユーザーグループあり、AIに関するさまざまな最新トピックを日本語で情報収集できます。
ChainerもPyTorchと同じく「Define by run」を採用しており、高速な処理ができる点が特徴です。
コードもシンプルに記述でき、単純なニューラルネットワークから、ディープラーニングまで幅広く対応できます。
利用できるプログラミング言語
Chainerは、Pythonのフレームワークとして提供されているため、利用できるプログラミング言語はPythonのみです。
先に紹介したPyTorchとChainerは、記述方式がとても似ています。
Chainerを利用していた方が、PyTorchに乗り換える際には、違和感なくスムーズに乗り換えられるでしょう。
メリット・デメリット
Chainerのメリットとデメリットとしては、次のものが挙げられます。
- Define by runを採用している
- 国産なので日本語情報が豊富
- 直感的にコードを書くことができる
- 似ているPyTorchの方に乗り換える人が多い
- 海外ではほとんど利用されていない
まとめ:初心者はAIフレームワーク「TensorFlow/Keras」から始めよう
AIのフレームワークは数多く存在していますが、初心者の方は「TensorFlow/Keras」から取り組むことをおすすめします。
TensorFlowは、AIのフレームワークとしては世界的にデファクトスタンダードの位置づけであり、さまざまな情報を集めやすいからです。
さらに、KerasがTensorFlowに統合されたことで、初心者でもニューラルネットワークに触れやすくなりました。
ここ数年で、AIのフレームワークは統廃合が活発ですが、TensorFlow/Kerasの組み合わせはこれからも残り続けることが予想されます。