人工知能、通称AIはここ数年で最もポピュラーなテクノロジーの1つとなりました。
そして、人工知能に関する知識やスキルは単に知名度が高まっただけでなく、エンジニアを中心とした多くの人にとってもその重要性を増してきており、今やテクノロジーとは無縁な職業の人であっても、人工知能への一定の理解を求められることも多くなりました。
今回はそんな人工知能に関して、これから勉強していきたいと考えている人が知っておくべき最低限の知識をいくつかご紹介していきます。
記事のもくじ
AI(人工知能)入門:AIとは?
人工知能はSF映画の世界で盛んに取り上げられてきたテクノロジーですが、ついに現実世界でも頻繁に使用されるような技術になってきました。
人工知能は当たり前のテクノロジーに
人工知能というワードを聞けば、まるで人間のように振舞ったり、知性を持ったロボットのイメージを思い浮かべてしまうかもしれませんが、現在開発が進み、世間で広く使われているAIというものは、もう少しシンプルです。
今活躍が期待されている人工知能というのは、「人間の知能を模倣するタイプ」ではなく、「人間の仕事を代わりにできる機械」としての位置付けです。
これまで人間にしかできないとされてきたデスクワークなどを、人工知能のテクノロジーを使ってやらせてみようというもので、何も人類に取って代わる人工の生命体を生み出すというものに限りません。
もちろんそのようなSF的なAIの開発も行われていますが、一般的にAI人材に求められるのは、デスクワークを自動化するための知識です。
認知の進む人工知能
人工知能というキーワードは、グラフで見るとその急激な注目度の増加が顕著にわかります。
キーワードを入力することで、その注目度の動向をグラフ化してくれるGoogleトレンドによれば、2014年あたりから大きくグラフの値が変動している様子が見て取れます。
「人工知能」というキーワードは日本語であるため、これはどちらかというと日本人の注目度と考えることができますが、「AI」などの英語での検索ワードで調べてみると、それでも緩やかに現在に至るまでその注目度が上昇している様子が伺えます。
例えばアメリカ合衆国での「AI」検索トレンドを見てみると、以下のようなグラフを描きます。
テクノロジー開発が進むアメリカではそこまで急激なトレンドの変化は見られませんが、それでも注目度が高まっていることには間違いありません。
むしろこの急激な人工知能への注目は、日本だけの現象であるとも考えられます。
さらにいうと、アメリカでは徐々にAIに注目度が高まっていき、少しづつAI人材のニーズとその人口が拡充されていったのに対し、日本は突如として人工知能が話題となったために、AI人材の不足と需要の増加が叫ばれるようになったっとも言えるでしょう。
いわゆる文系人間にも必須の知識に
そんな人工知能ニーズの高まりの中で、もはやエンジニアのようにコンピューターの扱いに長けた人間だけでなく、いわゆる文系とされた職種に就く人にも人工知能への造詣が求められるようになりつつあります。
実際、人工知能が現在活躍しているのはオフィスでのデスクワークを改善、自動化し、業務効率を向上させるといった目的での使い方です。
普段デスクワークに従事している事務職の人間こそ、「何を効率化できたら良いか」を一番理解しているため、効果的なテクノロジーの導入にはそういった人たちの人工知能への理解が大きく役に立つのです。
ただ、一朝一夕で人工知能を全て理解し、自ら組み立てられるようになることは難しい側面もあります。
そのため自ら人工知能を組み立てるまではいかずとも、人工知能を使って何ができるかを理解できるようになるだけでも、エンジニアとのコミュニケーションも円滑に進み、効果的な人工知能の導入が見込めます。
AI(人工知能)入門:注目される理由
それでは、次になぜこれだけ人工知能が注目されるようになったのかを見ていきましょう。
確かに技術の進歩で人工知能が身近に扱えるようになったかもしれませんが、これほど大きなニーズが今生まれている理由として、何が考えられるでしょうか。
少子高齢化による労働人口の減少
1つは、少子高齢化による労働人口の減少です。
先進国では子供の数が年々減少していると言われていますが、特に日本ではこの問題が深刻です。
比較的元気な高齢者が多いとされる日本では、定年退職の年齢を引き上げることで労働人口を確保しようという動きも見られますが、それでも若年層のパフォーマンスや体力に比べると劣るものがあります。
同時に、これまでの労働環境には無駄も多く、改善の余地はどの企業においても複数あるともされています。
景気の鈍化に合わせ、企業が人員を削減を進めていく中で、業務のスマート化をより効果的に推し進めていくための施策として、人工知能の導入が検討されているとも考えられます。
高いコストパフォーマンス
そして、人工知能は何と言ってもその高いコストパフォーマンスが魅力です。
人間とは違って24時間、休憩なしで働くことができるだけでなく、はるかに速い速度で作業を進めていくことが可能なため、うまく業務に導入することができれば力強い味方となるのです。
もちろん新しいテクノロジーを導入するためには、初期投資がかかってきてしまうのですが、そのパフォーマンスを考えると費用対効果は優れたものになることが期待できます。
AI(人工知能)入門:仕組み
では次に、人工知能がどのような仕組みで動作しているのか、簡単に見ていきましょう。
一般的なプログラムとの違い
人工知能はそのほかのソフトウェアと同様、人間のプログラミングによって構築されるという点では変わりません。
ただ、従来のプログラムと決定的に異なるのが、主体的に情報を処理して結果を出すことが可能になるという点です。
従来のプログラムは、プログラミングによってあらかじめ決められたことのみをアウトプットすることしかできず、予測や分析といったロジカルシンキングの能力は持っていなかったのです。
ところが、人工知能はこれが可能になりました。今まで人間の仕事とされてきた思考力を問う仕事が、人工知能でも行えるようになったために、データ解析のような作業量と思考力の両方が問われる時間のかかる仕事も、数字を入力すればものの数秒で答えを返してもらうことができるようになりました。
使用するプログラミング言語
人工知能の開発に使われるプログラミング言語は多岐に渡ります。
基本的に人工知能は統計解析の延長線上で使用されることが多いため、統計向けに開発されたプログラミング言語をベースに組み上げられるケースがよく見かけます。
中でも人気なのが、Pythonによる人工知能の開発です。
Pythonは統計向けに開発された言語ですが、そのコミュニティやユーザーの数、習得難易度の易しさ、汎用性の高さから、今最もポピュラーなプログラミング言語となっています。
日本でもPythonのスキルを持った人材の求人が多く、これからエンジニアを志すという人にも推奨されている言語です。
AI(人工知能)入門:活用方法
そんな人工知能の活用方法は、様々な分野や業務に至ります。
作業の自動化
まず大きいのがデスクワークにおける作業の自動化です。
これまでは手動で入力していた書類作成なども、OCRと呼ばれる文字認識機能を使えば高い精度で紙媒体をデジタル化してしまうことも可能ですし、表計算もフォーマット作成から自動で生成してもらうこともできます。
あるいは売上予測といった分析など、デスクワークのほぼ全てを自動化することも夢ではないでしょう。
接客にも応用可能
さらに、これまで人間にしかできないとされてきた接客も、オンラインであれば人工知能に代替されているケースも目立つようになってきました。
オンライン上のカスタマーサポートでは、公式サイトなどにチャットシステムを導入し、オペレーターがチャットで案内を送ってくれるというものがありました。
このリアルタイムのテキストコミュニケーションも、人工知能によって行うことも珍しくなくなってきています。
いわゆるAIチャットボットと呼ばれるものですが、あらかじめキーワードや顧客のリクエストのパターンを人工知能に記憶させておき、機械学習を何度も行うことで、人間と変わらない応対を行うことに成功しています。
どうしても人工知能では対処できない商品の詳細な紹介などのみ人間が対応することで、人件費の大幅な削減につながります。
AI(人工知能)の入門者におすすめの本
最後に、人工知能の学習を志す人に向けて、初学者でもとっつきやすい本をいくつかご紹介いたします。
マンガでわかる人工知能(インプレス)
解説系書籍としてはおなじみの「マンガでわかる」シリーズですが、人工知能特化のマンガも販売されています。
「人工知能という単語しか知らない」という人は、まずはこういったイラストでもわかりやすい書籍から学習を進めていくのが挫折も少なく、おすすめです。
いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門(マイナビ出版)
こちらも初学者向けのAI学習書ですが、一般教養として人工知能についての知識をしっかりと学ぶことができる良書です。
実際の各職種への応用事例などもチャプターごとに紹介されているため、ビジネスのヒントをここから得ることができるかもしれません。
独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで(日経BP)
エンジニアリングでお金を稼ぎたいという人には是非すすめたいのがこちらの一冊です。
Pythonを使ったプログラミングの技術から、プログラマーとしての仕事の受け方、その内容など、AI人材としての生き方のケーススタディを学ぶことができます。
「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ (角川新書)
AI時代における、現代人の働き方についての新書です。 AIのことを学ぶための本、という趣旨とは少しずれていますが、独学で学びを得るためのプロセスについて詳細に語られているため、効果的な学習を進めていきたい人は必読と言えるでしょう。
AI(人工知能)を1から理解!AI入門に際して知っておきたいことのまとめ
人工知能が現実的なテクノロジーとして認識され始めたのは、ほんのここ数年の間の出来事です。
まだまだ一般にその実態や知識、運用方法などは認知されておらず、どの業界でも試行錯誤を繰り返しながらAIの運用を進めている状態です。
まずは一般教養的な知識を身につけておくだけでも、これからのAI時代を生きるのに大きく役立つことになるでしょう。