今回は「ブリッジSE」について、徹底解説します!
ブリッジSEという職種については、海外就職を目指している方なら聞いたことがあるかもしれませんが、日本のエンジニアの方だと聞きなれない職種名かもしれません。
そこで今回は「ブリッジSE」について、
- ブリッジSEとは?
- 未経験でもなれる?なり方は?
- 年収や将来性、仕事内容は?
などの疑問に答えながら、プログラミング初心者の方にもわかりやすく解説していきます!
記事のもくじ
ブリッジSEとは
ブリッジSE(ブリッジシステムエンジニア)とは、海外のエンジニアと日本企業の間に立ってディレクションを行うポジションのことです。
少し聞き慣れない職種かもしれませんが、実はとてもシンプルな職種です。
もう少し分かりやすく説明すると、例えば、ある日本企業がWEBサービスを開発する際に、海外の開発会社に委託することになったとします。
その場合、必ず「どのようなWEBサービスを作りたいか」「どのようなデザインにしたいか」といった、実装すべき機能や性能を開発会社の外国人エンジニアに伝える必要がありますよね。
そこで登場するのがブリッジSEです。
ブリッジSEは、自社が開発したいと思っているWEBサービスの要件定義をしっかりと開発会社のエンジニアに説明し、コミュニケーションをとりながら円滑にサービスを形にしていくようにディレクションを行う仕事です。
ブリッジSEが注目を浴びている理由
ブリッジSEは現在非常に注目を浴びている職種です。
近年なぜこのブリッジSEという職種が注目を浴びているのでしょうか?
その大きな理由には、「オフショア開発の普及」が挙げられます。
オフショア開発とは、日本の企業が東南アジアなどの海外の企業に開発を委託することで開発コストを削減する手法のことを言います。
エンジニアの人件費が高い日本企業に開発を委託するよりも、東南アジアなどの比較的人件費の安い企業に開発を委託した方が、圧倒的にコストメリットがある為、近年注目されてきている手法であり、現在では45.6%の日本のIT企業がオフショア開発を利用していると言われています。
(参照元:IPA:IT人材白書 2012 オフショア開発の位置付け)
つまりブリッジSEという職種は、オフショア開発の普及に伴って注目されてきた職種なのです。
ブリッジSEの強み
ブリッジSEの強みや、目指すメリットをみていきましょう。
1. 高い需要がある
2. プロジェクトマネージャーの経験も積める
3. グローバルに働ける
1. 高い需要がある
日本企業がオフショア開発を行ったにも関わらず、現地のエンジニアと円滑なコミュニケーションが取れずに、開発プロジェクトが失敗してしまったケースも多く発生しており、多くの企業でブリッジSEの採用に力を入れています。
※厳密に言うと「ブリッジSE」としての募集というより、「オフショア開発企業との橋渡し」や「プロジェクトマネージャー」としての職種で募集されているケースが多いです。
また近年、AIの普及やWEBアプリケーションの開発も恒常化されてきている中で、実態として日本のエンジニアの不足が深刻化しており、またオフショア開発企業のさらなる増加に伴い、ブリッジSEの需要は今後更に高まっていきます。
2. プロジェクトマネージャーの経験も積める
ブリッジSEの日常業務は、プロジェクトマネージャーのような動き方となる為、プロジェクトマネージャーとしての実務経験も同時に積むことができます。
ある大きなプロジェクトにおいて、日本企業のブリッジSEとして海外の現地エンジニアと向き合いますが、実質的には期日までのタスク管理や進捗管理、マネジメント力が求められる職種の為、実務経験を通してプロジェクトマネジメントスキルも身につけることができます。
3. グローバルに働ける
日本企業と海外エンジニアの架け橋ではありますが、決して日本だけで業務を行うというわけではありません。
ブリッジSEが中心となってプロジェクトを進める上では、現地企業に出向いて海外エンジニアと直接コミュニケーションをとる必要も出てきます。
また開発案件によっては、海外企業に常駐するケースもあります。
グローバル社会となっているこの時代に、IT×グローバルといったまさに最先端の職種として働くことができます。
ブリッジSEに必要なスキルとは
ここでは、ブリッジSEに必要なスキルを4つ紹介いたします。
1. 語学力(IT英語の知識)
2. ITスキル、プログラミングスキル
3. 異文化コミュニケーションスキル
4. マネジメントスキル
1. 語学力(IT英語の知識)
海外のエンジニアとコミュニケーションをとりながらプロジェクトを進める上では、語学力は必須のスキルといえます。
オフショア開発企業というと、インド、ベトナム、フィリピンなどの企業が多いですが、共通して使われる言語は「英語」と言われています。
よって、英語でコミュニケーションが取れて、しっかりと要件定義を説明でき、相手が理解できるレベルの語学力をつけることが必要です。
TOEICのスコアは、最低でも700点以上が目安と言われています。
2. ITスキル、プログラミングスキル
ITスキルやプログラミングスキルの知識ももちろん求められます。
海外のエンジニアに開発の要件を説明する上でも、やはりITスキルやプログラミングの知識がないと、説得力を持った説明やマネジメントができません。
一般的なエンジニアのように、実務としての開発を行うわけではありませんが、プロジェクトを進行していく上で、ITスキルを持っておくことは必須事項といえます。
3. 異文化コミュニケーションスキル
現地のエンジニアと円滑にプロジェクトを進める上で、異文化コミュニケーションスキルも必須といえます。
海外のオフショア開発企業には、それぞれの国の文化や思想、国民性があり、日本とは異なります。
そういった国ごとの特色を理解した上で、ブリッジSEが向き合う外国人エンジニアに対してコミュニケーションを取らなければいけません。
コミュニケーションミスが起きると、そのプロジェクトに遅延が発生したり、開発コストが予想以上に膨らんでしまうケースもあります。
語学力と同じくらい異文化コミュニケーションスキルも重要といえるでしょう。
4. マネジメントスキル
プロジェクトを期日通りに進める時間管理や工程管理、外国人エンジニアのタスク管理等、マネジメントスキルも非常に重要です。
また外国人エンジニアに対してのマネジメントだけではなく、日本企業側のプロジェクトに対する構想や開発したいサービスに対する意見を取りまとめるという役割もある為、プロジェクト全体を通してマネジメントスキルが必須となります。
ブリッジSEの年収
ブリッジSEの平均年収は30代前半(30歳〜35歳)で「733万円」と言われています。(プロジェクトマネージャーとしての平均年収)
一般的なソフト系SEの平均年収が「525万円」と言われているので、ブリッジSE(プロジェクトマネージャー)の方が平均年収が高い傾向にあります。
また個人の実力や会社によっては、1,000万円を超えることも珍しくありません。
(参照元:Tech総研 30代前半ソフト系のエンジニア年収)
ブリッジSEとは?ブリッジSEの仕事内容
ブリッジSEの主な仕事内容は下記3つです。
1. 日本企業側が開発したいサービスやプロダクトの要件定義を外国人エンジニアに説明する
2. 要件定義に対しての進捗確認や必要に応じた軌道修正、タスク管理
3. 完成された納品物の受け入れ、品質確認
1. 日本企業側が開発したいサービスやプロダクトの要件定義を外国人エンジニアに説明する
まずはじめに行うことは、サービスやプロダクトの要件定義をしっかり理解することと、理解した内容を正確に外国人エンジニアに言葉で伝えることです。
要件定義を伝えるタイミングで認識相違があったり、ミスコミュニケーションがあると、開発スケジュールが遅延する可能性があるので、外国人エンジニアに対して正確に橋渡し(ブリッジ)を行うことが必要になります。
また必要に応じて、日本企業側で行う要件定義の取りまとめをブリッジSEが行うこともあります。
2. 要件定義に対しての進捗確認や必要に応じた軌道修正、タスク管理
要件定義を説明した後は、進行したプロジェクトに対するタスクの進捗確認や、軌道修正が必要になります。
オフショア企業では、日本の常識が通用しないケースも多々あります。
また外国人エンジニアが開発を進めていく中で、突然エンジニアが入れ替わるといったケースもあります。
ブリッジSEはそういったケースも想定しながら日々のマネジメントや柔軟な軌道修正を行っていかなければなりません。
3. 完成された納品物の受け入れ、品質確認
納品物が指示通りに開発されているかの納品確認、及びサービスやプロダクトの品質確認を行います。
最終的に完成された状態で大きな軌道修正を行うことは難しい場合もあるので、納品のタイミング問わず、都度定期的に細かい確認を行うことも重要です。
ブリッジSEの将来性とは
将来性は非常にある職種といえます。
上述した通り、今後東南アジアを中心にオフショア企業が増加することに伴って、オフショア企業を活用する日本企業は間違いなく増えてきます。
また開発拠点を海外に置く日本企業が増えてきていることや、メルカリや楽天などのIT企業が、外国人エンジニアの採用も積極的に行っている状況のとおり、英語を使ってコミュニケーションが取れるエンジニアの需要自体、今後ますます増えてくると言えます。
時代背景や開発トレンドに伴って、ブリッジSEの需要も間違いなく増えてくるでしょう。
(参照元:外国人採用HACKS:外国人採用に積極的な企業ランキング)
未経験からブリッジSEになる方法とは
まず未経験からブリッジSEになることは可能なのでしょうか?
結論から言うと、非常に難しいと言えます。
なぜならば、ブリッジSEは、エンジニアとしての経験が必ず求められるからです。
既にエンジニア経験がある方は、語学力次第でブリッジSEの職種につけることはありますが、エンジニア未経験の方がいきなりブリッジSEの職種に就くことは非常に難しいでしょう。
それでは、エンジニア未経験から、どういった流れでブリッジSEを目指すべきなのか、下記3つの候補で解説していきます。
1. エンジニアとして日系企業に就職し、経験を積んでからブリッジSEを目指す
2. 海外ITインターンを経験し、ブリッジSEを目指す
3. IT・プログラミング留学を行っている企業で、ブリッジSEを目指す
1. エンジニアとして日系企業に就職し、経験を積んでからブリッジSEを目指す
一番ベーシックなブリッジSEの目指し方です。
プログラミング言語については、スクールに通う、または独学にて勉強し、エンジニアもしくはプログラマーとしてのスキルをつけた上でまずは入社し、その後就職した会社もしくは海外のオフショア企業にて、ブリッジSEを目指すといった流れになります。
今の時代、社会全体としてのインターネットの普及やIT化が進んでいるにも関わらず、エンジニアが全体的に不足しているため、近年エンジニアの募集や採用を強化している企業は増えております。
またもし運がよければ、入社した企業でブリッジSEの職種が既にある場合は、例えば見習い社員として、ブリッジSEの経験を同時に積むことができたり、間近でブリッジSEが行っている業務を肌で感じることができる可能性があります。
エンジニアとしての経験を積み、いざ本格的にブリッジSEを目指す上では、語学力の習得も行わなければならない為、こちらもスクールに通ったり、独学にて勉強する必要があります。
2. 海外ITインターンを経験し、ブリッジSEを目指す
エンジニアとして日系企業に就職が難しい場合、海外ITインターンにてエンジニア経験を積むこともできます。
特にフィリピンやベトナムといった東南アジアのオフショア開発企業では、海外ITインターンを行っている企業は多数あり、現地でエンジニアとしての経験を積みながら、実力や成果によっては、インターン後そのままブリッジSEとして就職ができるケースもあります。
プログラミング言語及び語学に関しては、海外インターンの場合も同様に事前に習得しておくことが必要ですが、特に語学においては、海外企業でインターンを行うことによって、日常生活から学ぶことができます。
3. IT・プログラミング留学を行っている企業で、ブリッジSEを目指す
日系企業での就職が難しく、また海外インターンで経験を積むことも難しい場合は、IT・プログラミング留学またはスクール事業を行っている企業のスクールに通い、そのままエンジニアとして就職するということもできます。
プログラミングスクールを運営している企業には、必ずプログラミング言語を教えている先生や講師がいます。
その先生が近くにいるということも、エンジニアとしての経験を有意義にさせてくれます。
また、IT・プログラミング留学またはスクール事業を、東南アジア等の海外で行っている企業の場合は、海外インターン同様に、語学力も同時に日常生活から学ぶことができます。
現在は国内外問わず、プログラミングスクールは非常に増えてきているので、会社次第ではそのまま就職することも十分可能でしょう。
ただその場合は、スクール申込み時に必ず就職できる見込みがあるかの確認をすることが重要です。
まとめ:ブリッジSEとはオフショア開発が進む今求められている職種
ブリッジSEはオフショア開発が進んでいる現在、非常に求められている職種です。
しかしいきなりブリッジSEになるのは難しく、エンジニアとしての経験を積んでからブリッジSEを目指すのが一般的です。
またエンジニアの経験を積んだとしても語学力がないとブリッジSEになることは難しいです。
それだけスキルや経験が必要なので、ブリッジSEは価値の高い貴重な存在なのですね。
ブリッジSEを目指すには「エンジニアとしての経験」と「語学力の習得」が重要です。