渡航前の確認教材

分かっていることを、
根拠と一緒に確かめる

海外移住を検討するときの、記入シートと3つの演習です。滞在・就労の条件、仕事の見込み、生活費、相談先について、自分が次に調べることを整理します。

合格点や危険度のスコアはありません。記入や演習を終えることは、渡航の安全性・成功・採用・ビザ取得の保証ではありません。

解答も一緒に印刷されます
教材 01

準備状況を、根拠と一緒に書く

9項目ごとに、分かっていることと未確認のことを分けます。調べた事実には資料名・URL・確認日を添え、次に聞く相手と見直す日を決めましょう。

すべての欄は「未確認」から始めます。項目が埋まった数やYesの数で、渡航の安全性・成功・準備完了を判定するシートではありません。

黄色の欄は画面上で書き換えられます。入力内容は自動保存されません。残す場合は記入後に印刷してPDFに保存するか、CSVをダウンロードして使ってください。

1. 目的

確認する内容の例:変えたいこと、現地で試したいこと、他の方法との違い

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

2. 期間

確認する内容の例:希望する期間と、見直す時期。許可される滞在期間は別に確認

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

3. 滞在資格

確認する内容の例:候補となる資格、対象条件、申請・更新の期限

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

4. 就労条件/収入

確認する内容の例:担当業務、勤務地、就労可否、給与と入金時期、未確定収入

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

5. 資金

確認する内容の例:初期費用、生活費、予備資金。保険・為替・支払時期も確認

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

6. 言語/実務

確認する内容の例:条件を質問して説明する練習、担当業務に近い小さな実践

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

7. 医療/保険

確認する内容の例:受診先、補償の範囲・除外・支払方法、必要な相談先

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

8. 日本の手続き

確認する内容の例:住民登録、税・社会保険・年金など、自分に該当する手続き

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

9. 相談先/帰国案

確認する内容の例:誰に相談するか、予定を変える条件、帰国時の費用と連絡先

未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
架空の記入例:就労条件/収入の1項目

応募先が見つかっても、収入を確定扱いしない

分かっていること
架空の求人Aには、初月の業務としてWebページ更新とフォームの動作確認が書かれている。
証拠と確認日
練習用の架空求人Aの本文/20XX年X月X日(記入方法の例。実際に調べた記録ではない)
未確認
採用の可否、対象となる滞在資格、就労条件、給与額・通貨・入金日。応募段階なので収入は未確定。
誰に何を聞く
企業の採用担当に応募資格・支援の範囲・勤務条件を質問する。渡航先の公式資料で、自分の資格で認められる就労範囲を別に確認する。
次の見直し日
20XX年X月X日(自分で日付を決める。返答がなければ未確認のまま再整理)
教材 02

公式情報を確認した記録を残す

資料を見つけただけで「確認済み」にせず、誰が発行し、どの資格の、どの条件を説明しているのかを書き出します。1つの資料・対象資格につき1行を使ってください。

  1. 1. 発行者を確かめる渡航先の入管・移民当局や在外公館など、制度を担当する機関の原文を探す。
  2. 2. 自分の条件と照らす国・地域、資格名、年齢や就労の範囲、申請時期などの適用条件を読む。
  3. 3. 不明点を質問にする資料内の見出しや該当箇所も残し、判断できない点は窓口への質問にする。
記入用の確認表(初期状態は未確認)
資料名発行者確認日対象滞在資格就労範囲未確認事項URL
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認
未確認

CSVには6行あります。必要に応じて行を追加してください。確認日は自分が原文を読んだ日です。資料の更新日・施行日がある場合は、資料名欄にも併記すると区別できます。

「就労範囲」に残すこと

  • 可能・禁止・条件付きのどれに当たるか、その根拠の箇所
  • 職種・雇用主・時間・場所などの制限があるか
  • 海外からのリモート勤務が該当するか不明なら、そのまま未確認と記す

「未確認事項」に残すこと

  • 自分の経歴・契約形態への適用
  • 企業の支援の範囲と、当局による許可の違い
  • 更新・変更時の条件、支払日など資料にない個別条件

企業の回答は、就労資格を与える法的証明ではありません。求人票・企業への確認と、国や地域の公式条件の確認を分けて残します。税・社会保険・年金などの個別判断は、市区町村・年金事務所・必要な専門家への確認項目にしてください。

資料を探す場所の書き出し欄

未確認
未確認

この確認表は特定の国・資格の条件を埋めたものではありません。実際に読んでいない資料や、自分への適用が不明な項目を「確認済み」にしないでください。

教材 03

資金の計算で、抜けている条件を見つける

以下はすべて架空の計算練習です。金額は万円でそろえ、準備資金から初期費用と手を付けない予備資金を分けて考えます。

この練習の前提
項目金額扱い
使える準備資金180万円この例の出発点
初期費用30万円生活費に使う前に差し引く
帰国等のための予備資金30万円この練習では手を付けない
月の生活費20万円毎月同額と仮定
確定した月収0円未採用の仕事からの収入は含めない
30万円初期費用
30万円手を付けない予備資金
120万円生活費に回す資金
180万円 − 30万円 − 30万円 = 120万円
120万円 ÷ 20万円/月 = 6か月確定した月収は0円。生活費が一定なら何か月分になるか、という計算結果です。

「6か月あれば安全」という推奨ではありません。滞在資格、支払時期、保険、物価、為替、臨時出費などは、この計算とは別に確認が必要です。

問題1:未採用の月収を入れてよい?

ある人は「応募中の仕事で月10万円を得られるはず」と考え、次のように計算しました。何が問題でしょうか。

意図的な誤例:120 ÷(20 − 10)= 12か月まだ採用されていない仕事の月収10万円を、確定収入として使っています。
未記入

解答

12という計算値自体は式と一致しますが、月10万円を確定収入にした前提が誤りです。未採用のため、その収入は未確定として分けます。この問題の確定月収0円という条件では、120 ÷ 20 = 6か月です。

将来の収入が確定している場合でも、収入の停止・支払遅延・入金開始日・継続条件を別に確認します。契約額をそのまま毎月使える現金とみなさず、費用と入金の時期も確かめてください。

問題2:月の生活費が24万円なら?

準備資金・初期費用・予備資金・確定月収は変えず、月の生活費だけを24万円にします。何か月分になりますか。

未記入

解答

(180 − 30 − 30)÷ 24 = 120 ÷ 24 = 5か月

生活費が月4万円増えると、この仮定の計算結果は6か月から5か月に変わります。5か月の滞在を保証する意味ではありません。

問題3:さらに初期費用が10万円増えたら?

問題2の月24万円という条件に、初期費用10万円を追加します。計算し、端数をどう説明するか考えてください。

未記入

解答

(180 − 30 − 30 − 10)÷ 24
= 110 ÷ 24 = 約4.58か月

110 ÷ 24 = 4.5833…を小数第2位までの近似で示しています。端数を切り上げて「5か月分ある」とは扱いません。実際の家賃などの支払日や一括払いを考慮した資金繰りは、別に確認します。

自分の数字に置き換える前に

見積もりの根拠と確認日を残し、未確認の支出を0円として扱わないことが大切です。初期費用・毎月の支出・予備資金・収入の入金時期を分けて、準備状況シートの「資金」に未確認事項を戻しましょう。

教材 04

英語で質問し、返答の条件を説明する

質問を声に出す → 2種類の返答を読む → 分かったことと未確認のことを日本語で説明する、の順に練習します。英語の上手さを点数化する課題ではありません。

ここにある質問・返答は教材用の模擬会話です。実在する企業の求人・回答ではありません。いずれの返答も採用やビザ取得を保証しません。企業の回答は就労資格を与える法的証明ではないため、渡航先の公式条件との照合が必要です。

質問1

Is this role open to applicants who need work authorization?

就労許可が必要な応募者も、この職種に応募できますか。

模擬返答 A

We consider applicants who need work authorization. Sponsorship is assessed individually and has not been approved for this vacancy.

模擬返答 B

Applicants must already have the right to work in Singapore. We do not offer visa sponsorship for this role.

未記入

日本語の解答・読み取り

A:就労許可が必要な応募者を検討対象にする、という回答です。支援は個別審査で、この求人に対する支援はまだ承認されていません。応募対象であることと、採用やビザ取得が決まることを分けて読みます。

B:応募者はすでにシンガポールで働く権利を持っている必要があり、この職種ではビザのスポンサー支援を行わない、という条件です。自分の資格がこの条件を満たすか、公式資料と企業への確認が必要です。

次に確認すること:自分の資格・契約形態で応募条件を満たすか。支援が検討される場合、その対象・範囲・費用・手続きは何か。

質問2

Which tasks would I be responsible for in the first month?

最初の1か月は、どの業務を担当することになりますか。

模擬返答 A

In the first month, you would update web pages and test existing forms, with a senior developer reviewing your work.

模擬返答 B

The first-month tasks have not been finalized. We will confirm them after the team review.

未記入

日本語の解答・読み取り

A:初月に想定される業務はWebページの更新と既存フォームのテストで、シニア開発者が作業を確認する、という説明です。業務の見通しは読み取れますが、この説明だけでは採用決定や必要スキルへの適合を意味しません。

B:初月の担当業務はまだ確定しておらず、チームの検討後に確認する予定、という回答です。具体的な業務は未確認のまま残します。「研修だけでよい」などの条件を補ってはいけません。

次に確認すること:使用するツール、求められる作業水準、担当範囲、確認方法、確定時期はいつか。

質問3

Could you confirm the working location and time zone?

勤務地と、勤務に使うタイムゾーンを確認していただけますか。

模擬返答 A

The role is based in our Singapore office, and the team works on Singapore time (UTC+8). Remote work from Japan is not included in this arrangement.

模擬返答 B

The working location is still under review. We have not yet confirmed whether the role can be performed from Japan or which time zone will apply.

未記入

日本語の解答・読み取り

A:勤務地はシンガポールのオフィスで、チームはシンガポール時間(UTC+8)で働くという条件です。この取り決めには日本からのリモート勤務は含まれません。具体的な始業・終業時刻や出社頻度は、なお確認が必要です。

B:勤務地を検討中で、日本から勤務できるか、どのタイムゾーンが適用されるかは未確定です。日本から働ける、時差に合わせなくてよい、などと推測しないでください。

次に確認すること:勤務する国・場所、出社頻度、勤務時間、時差対応、海外から働く場合の会社許可と現地の条件は何か。

答えを読んだら、担当業務に近い小さな実践も考えます。たとえば、Webページの更新とフォームの動作確認を想定し、作業内容・確認結果・質問したい点を短い日本語と英語で説明してみましょう。実践を1つ終えたことだけで就職可能とは判定しません。

教材 05

AIの整理結果を、原文に戻って確かめる

原文にない条件が追加されていないかを探す練習です。下の求人文と「AIによる整理を想定した誤例」は、どちらも教材のために作った架空の文章です。実在する求人でも、実際のモデル出力でもありません。

原文:架空の求人文

This role is based in Singapore. Visa sponsorship is under review. Salary will be discussed after the interview.

意図的に誤りを加えた整理例

ビザ支援あり、日本からフルリモート可、月給30万円

誤って追加された条件を3つ見つけ、それぞれ原文のどこに戻ればよいか書いてください。

未記入
未記入
未記入

解答:追加された3点を取り除く

誤って加えた条件照合する原文原文から言えること
ビザ支援ありVisa sponsorship is under review.ビザ支援は検討中。支援があると確定した文ではない。
日本からフルリモート可This role is based in Singapore.この職種の拠点はシンガポールと書かれている。日本からの勤務可否やリモート条件は記載されていない。
月給30万円Salary will be discussed after the interview.給与は面接後に話し合う予定。金額・通貨・月給かどうかは記載されていない。

原文に沿った整理例

「拠点はシンガポール。ビザ支援は検討中。給与は面接後に協議予定。日本からの勤務可否、支援の決定、給与額・通貨・支払単位は未確認。」

「記載がない」は「許可される」でも「禁止される」でもありません。未確認として残し、原文の該当箇所や採用担当への質問へ戻します。

AIに任せる前と、任せた後に

  • 自分で選んだ公的資料・求人の必要な部分だけを使い、転載条件・個人情報・秘密情報に配慮する
  • 「条件/期限/未確認」を分ける整理の補助に使う。書かれていない期限も作らせない
  • 整理された各項目について、根拠となる原文の語句を自分で確認する
  • 最新の公式条件や個別の就労可否を、AIの説明だけで判断しない